運命をひらくリーダーの条件 柳井 正(ファーストリテイリング会長兼社長) 岡田武史(FC今治オーナー)

長引くコロナ禍が社会の活力を多方面で奪っている。しかし、この逆境下で光を放ち続ける組織もある。カジュアル衣料のユニクロを擁するファーストリテイリングと、サッカーの地方リーグからJ3昇格を果たしたFC今治はその筆頭と言えよう。各々のリーダーである柳井正氏と岡田武史氏は、この試練とどう向き合い、いかにして活路を見出しているのか。各々の挑戦を交えて語り合っていただいた。

僕がここまで運命をひらいてこられたのは、諦めなかったからだと思うんです。何事も簡単には諦めない。そして、諦めないために大切にしているのが、すべては自分に必要なことだと考え、受け止めることです

岡田武史
FC今治オーナー

岡田 
 柳井さんとは、同じ早稲田大学出身ということで懇意にしていただいていますが、5年くらい前でしょうか、僕がサッカーの監督からFC今治の経営に転じて間もない頃に言われた言葉がいまも強烈に印象に残っているんです。
「岡田さん、世界一に何年でなれるんですか?」と。
 当時のFC今治は、まだ実力では五部に相当する四国サッカーリーグに所属していましたから、世界一なんて正直考えてもみなかったことで。きょうもまた言われるのではないかと冷や冷やしていました(笑)。

柳井 
 いや、サッカーのことを何も知らずに勝手に言っただけですから、気になさらないでください(笑)。FC今治へ移られてから何年になりますか。

岡田 
 6年です。おかげさまで、チームは昨年J3へ昇格を果たすことができました。

運命をひらくということは、自分がどこに行きたいかを明確にすることだと思います。そして、自分の思い定めた行き先が会社と同じ方向を向いていることが一番幸せなんじゃないでしょうか

柳井 正
ファーストリテイリング会長兼社長

岡田 
 こちらへ移ってつくづく実感しているのですが、経営というのは真綿でじわじわ首を絞められるような、サッカー監督の時とは全く異質の強烈なプレッシャーがかかるものですね。柳井さんは長年そういうプレッシャーと戦ってこられて、このコロナ禍でも今期(2021年8月決算)は過去最高益を更新する見込みだと新聞で拝見しました。これは本当に素晴らしいことだと思います。

柳井 
 前期(2020年8月決算)は減収減益に終わってしまいましたが、今期は計画通りにいけば過去最高益になります。1年後ですから、きっと大丈夫でしょう。
 本当は、皆がそういう気持ちでやらなければいけないと思うんですよ。日本はこの30年間、ずっとダウントレンドでしょう。情けないですよ、皆シュンとしていて。
 おかげさまで当社は成長を続けることができましたが、誰にもそのチャンスはあったんです。日本のサッカーもそうでしょう。

プロフィール

柳井 正

やない・ただし――昭和24年山口県生まれ。46年早稲田大学政治政済学部卒業後、ジャスコ入社。47年同社退社後、父親の経営する小郡商事に入社。59年カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」第1号店を出店。同年社長就任。平成3年ファーストリテイリングに社名変更。11年東証1部上場。14年代表取締役会長兼最高経営責任者に就任。いったん社長を退くも17年再び社長復帰。28年には売上高でカジュアル専門店世界第3位に。著書に『一勝九敗』『成功は一日で捨て去れ』(共に新潮社)『柳井正わがドラッカー流経営論』(日本放送出版協会)などがある。

岡田武史

おかだ・たけし――昭和31年大阪府生まれ。55年早稲田大学政治経済学部卒業後、古河電工入社。平成2年現役引退。9年監督として日本初のFIFAW杯本選出場を果たす。10年コンサドーレ札幌監督、15年横浜F・マリノス監督に就任。19年日本サッカー協会特任理事、同年9年ぶりに日本代表監督に就任。22年W杯南アフリカ大会でグループリーグを勝ち抜きベスト16に導く。26年FC今治オーナーに就任。著書に『岡田メソッド』(英治出版)、共著に『勝負哲学』(サンマーク出版)などがある。


編集後記

カジュアル衣料の世界的ブランド、ユニクロを擁するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんと、サッカー監督からFC今治のオーナーに転じ、同チームをJ3に昇格させた岡田武史さん。トップ対談では、優れたリーダーシップを発揮するお二人に、各々の体験を踏まえて運命をひらく条件を語り合っていただきました。

2020年12月1日 発行/ 1 月号

特集 運命をひらく

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