自助なくして地域再生なし 豊重哲郎(柳谷集落町内会長) 永井彰一(田園プラザ川場社長)

鹿児島県の南東に位置する柳谷集落・通称やねだん。準限界集落に指定されながらも、住民自治によって見事集落を蘇らせたのが〝地域再生の神様〟と称される町内会長の豊重哲郎氏だ。
片や地方創生のモデルとして全国から注目を集める群馬県の道の駅「田園プラザ川場」。経営破綻に陥っていた同社の売り上げを3.5倍に伸ばし、年間で200万人が訪れる道の駅に育て上げたのが社長の永井彰一氏である。
共に行政に頼らず、強力なリーダーシップと人間力によって地域活性化を成し遂げた両氏の足跡に学ぶ、自靖自献の生き方――。

【奇跡の再生を成し遂げた二人】

豊重 初めまして。永井さんのいらっしゃる群馬県利根郡川場村の外山村長は、私が主宰する「故郷創世塾」という地域おこしのリーダー育成合宿に人材を送り込んでくれるのでよく知っています。

永井 そうですか。彼は僕の同級生です。3歳の頃からの旧友で、しょっちゅう会っていますよ。

豊重さんは鹿児島県大隅半島のほぼ中央に位置する鹿屋市串良町柳谷集落、通称やねだんを再生した〝地域再生の神様〟として有名ですから、本日お会いできてとても嬉しいです。

豊重 いやいや、神様はあなたのほうですよ。経営難に陥っていた道の駅「田園プラザ川場」を見事生き返らせ、地域の活力源にされた。これは並々ならぬ努力だったと思います。田園プラザ川場は一般的な道の駅とかなり様相が異なりますよね。

永井 東京ドームの約1.5倍、6ヘクタールという広大な敷地内に、ファーマーズマーケットや飲食店、セレクトショップなど20ほどの施設が併設されています。地元でとれた農作物やオリジナル商品などこだわりの逸品を販売しているのですが、首都圏からのお客様が大半で、リピーター率は約7割。コアなリピーターも5割いて、おかげさまで2019年に年間訪問者数が200万人を超え、売り上げも約18億円あります。

豊重 それはすごい。川場村の人口はどのくらい?

永井 だいたい3,300名で、総世帯数が1,000戸ほどです。幸い、総務省が数年前に発表した限界集落には入っていません。

豊重 やねだんはかつて高齢化が進んで準限界集落に指定されていました。私が町内会長に就任した25年前は全体の約半数が高齢者で、高校生以下の人口は減っていく一方だったんです。
そんな中でもがきながら試行錯誤した結果、現在高校生以下の人口が10%まで増加しました。私が地域再生に取り組み始めた頃に幼子だった人たちが、いまUターンをして、やねだんで子育てをしてくれているんです。地域づくりのモデルケースとして、全国各地、海外から視察者が後を絶ちません。

「未来を見据えながらも、半径百メートルの身近な人たちを幸せにする。この姿勢が何事においても根底」
豊重哲郎(柳谷集落町内会長)

「結局のところリーダーに『夢と希望と情熱』さえあれば、どんな難題でも突破できる」
永井彰一(田園プラザ川場社長)

画像左:
住民自治によってつくられた芋焼酎「やねだん」。ラベルも住民による手づくり

画像右:
田園プラザ川場でリピーター続出のプレミアム商品。はちみつ、三温糖、生クリームにこだわったヨーグルト

プロフィール

豊重哲郎

とよしげ・てつろう―昭和16年鹿児島県鹿屋市串良町柳谷集落生まれ。35年県立串良商業高等学校卒業後、東京都民銀行入校。46年Uターンし、事業を始める。平成8年より現職。著書に『地域再生~行政に頼らない「むら」おこし』(出版企画あさんてさーな)。

永井彰一

ながい・しょういち―昭和38年群馬県利根郡川場村生まれ。法政大学法学部卒業後、カナダに留学。平成元年永井酒造入社、10年社長に就任。19年田園プラザ川場の社長に就任。田園プラザ川場を関東屈指の人気を誇る道の駅へ導く。現在は米国法人R&S KawabaManagement LLC CEOと川場村観光協会会長を兼任する。


編集後記

共に地方再生に人生を懸けるお二人に対談していただきました。鹿児島県の準限界集落だった「やねだん」を行政に頼らず再生した町内会長・豊重哲郎さん。群馬県川場村の道の駅の経営を回復させ、地域発展の要に成長させた田園プラザ川場社長・永井彰一さん。お二人の自助努力による再生の軌跡に心打たれます。

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