松尾芭蕉が求めた世界 境野勝悟(東洋思想家)

俳聖・松尾芭蕉は道元禅を深く学んだ求道者でもあった。厳しい漂白の旅の中で、歴史に残る多くの秀句を詠み続けた芭蕉が求めた世界とはどのようなものだったのか。禅の教えに造詣が深い東洋思想家の境野勝悟氏にお話しいただいた。

芭蕉は皆が嫌って価値を認めない、見捨てられた生存の中に美を見つけ出したのです

境野勝悟
東洋思想家

 人間的な価値観を挟み込むと、真実は見えなくなってしまいます。手前味噌な価値観を手放し、ありのままの大自然の真実を目にする時、心の奥底から「生かされてありがたい」という思いが湧き起こってきます。その幸福感は自ら全力を振り絞って手に入れるものではなく、もともと自分に与えられているものです。

プロフィール

境野勝悟

さかいの・かつのり――昭和7年神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、私立栄光学園で18年間教鞭を執る。48年退職。こころの塾「道塾」開設。駒澤大学大学院禅学特殊研究博士課程修了。著書に『日本のこころの教育』『方丈記 徒然草に学ぶ人間学』(共に致知出版社)『芭蕉のことば100選』『超訳法華経』(共に三笠書房)など多数。


編集後記

漂泊の旅を続け、多くの秀句を残した松尾芭蕉が句に込めた心を、東洋思想家の境野勝悟さんに解説いただきました。同じ句でも禅の視点で捉えると世界が一段と深まることに興味は尽きません。

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