鈴木大拙と西田幾多郎 二人の哲人が目指したもの 木村宣彰(鈴木大拙館館長) 浅見 洋(石川県西田幾多郎記念哲学館館長)

禅の文化を世界に伝えた仏教学者・鈴木大拙。独自の哲学体系を生み出し、世界にも広く知られる日本を代表する哲学者・西田幾多郎。二人は共に明治3年に石川県に生まれ、生涯の親友として互いに支え合い、尊敬し合い、禅と哲学というそれぞれの立場から学び教え合うことで、世界的な人物へと成長を遂げた。二人の哲人が歩んだ道と遺した教えや言葉を、鈴木大拙館館長・木村宣彰氏と石川県西田幾多郎記念哲学館館長・浅見 洋氏に縦横に語り合っていただいた。
(※写真左が西田幾多郎〈©石川県西田幾多郎記念哲学館〉、右が鈴木大拙〈©鈴木大拙館〉)

鈴木大拙

1870(明治3)年~1966年(昭和41)年

すずき・だいせつ――明治3(1870)年生まれ。本名・貞太郎。東京帝国大学選科在学中に、円覚寺にて参禅。30(1897)年、渡米。帰国後、学習院、大谷大学で教鞭を執る他、英文雑誌を創刊し、海外に仏教や禅思想を発信した。昭和11年、ロンドンで行われた世界信仰会議に日本代表として出席。イギリス、アメリカの諸大学でも教壇に立った。41年96歳で死去。

西田幾多郎

1870(明治3)年~1945(昭和20)年

にしだ・きたろう――明治3(1870)年、石川生まれ。東京帝国大学選科修了。学習院、京都帝国大学教授などを務める。禅を中心とした東洋思想と西洋哲学の融合を試み、西田哲学とよばれる独自の哲学体系を樹立した。昭和15年文化勲章受章。20年75歳で死去。主著に『善の研究』などがある。

木村宣彰
鈴木大拙館館長

 いまの世の中はとにかく競争競争、自己主張ばかり、国や民族、宗教間で争ってばかりいる。これでは人々の幸せ、平和な世界は実現できません。大拙、あるいは西田が命ある限り求め、人々に説き続けた、皆が一つになって命を輝かせ幸せに生きる「事事無礙」の世界、霊性的直観の世界を、いまこそ私たち一人ひとりが真剣に求めていくべきだと思うのです。

浅見 洋
石川県西田幾多郎記念哲学館館長

 自分だけでなく、愛する人も共に働く仲間も、あらゆるものが死にゆく、消えゆく存在です。そう自覚することによって、あらゆる命や物事が掛け替えのない尊い存在として自分の前に現れ、日々の人生や生活が充実したもの、真剣なものになってきます。だから超高齢社会を迎えるこれからの時代には、死をどう迎えるかというより、むしろ死を覚悟、受容し、いまという掛け替えのない時間を一所懸命、真剣に生きることが大事になってくるのだと思うのです。

プロフィール

木村宣彰

きむら・せんしょう――昭和18年富山県生まれ。41年に大谷大学文学部仏教学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程を満期退学。専門は仏教学(中国仏教)。図書館長、文学部長を経て、平成16年学長(22年まで)、25年より鈴木大拙館館長。

浅見 洋

あさみ・ひろし――昭和26年石川県生まれ。金沢大学大学院文学研究科哲学専攻修了、博士(文学、筑波大学)。国立石川工業高等専門学校教授などを経て、現在、石川県立看護大学特任教授・名誉教授、西田幾多郎記念哲学館館長などを務める。


編集後記

世界に禅を広めた鈴木大拙、独自の哲学体系を構築した西田幾多郎。二人は同じ石川県に生まれ、終生の友としてお互いに影響を与え合いました。鈴木大拙館館長・木村宣彰さんと石川県西田幾多郎記念哲学館館長・浅見洋さんが語り合う二人の哲人の生涯や教えから、様々な課題を抱える現代社会を生き抜く知恵を学びます。

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