世界で千年語り継がれる言葉 田中章義(歌人)

世界各地で長年語り継がれている言葉を探し歩くこと約30年。歌人の田中章義氏は、その土地で1,000年以上も生き続けている言葉には先祖の思いや魂、そして叡智が込められているという。氏はそれを「言葉の世界遺産」と表現する。そこに共通する教えとは――。

千年語り継がれる言葉には国境や時代を超えて共通する価値がある

田中章義
歌人

 歌詠みとして、世界各地に言葉探しの旅に出るようになり30年近くが経ちます。現在は國學院大學で短歌の授業を持っていますが、そこで私が学生に伝えているのは「言葉は一人の人間より遥かに長生きである」という言わずもがなの事実です。近年頻繁に「人生百年時代」が話題に上がります。しかし、言葉の世界は100年、200年単位ではなく、1,000年生きて初めて〝一人前の言葉〟として認められるようになる。世界を回る中でそう実感しています。
 ユネスコは自然や歴史的建造物に対して〝世界遺産認定〟を行っていますが、長年語り継がれている言葉についても〝言葉の世界遺産〟というニュージャンルがあってもいいのではないか――。それほど千年語り継がれる言葉には国境や時代を超えて共通する価値があると思うのです。

成し遂げた善は隠せ。源を隠すナイル川のように

エジプト

塩を入れるなら溶けるまで、仕事をするなら終わりまで

モンゴル国

上衣(うはぎぬ)はさもあらばあれ敷島のやまと錦(にしき)は心にぞ着る

西郷隆盛

プロフィール

田中章義

たなか・あきよしー昭和45年静岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学1年の時に第36回角川短歌賞受賞。平成12年から3年間にわたり国連サミットや国連会議などに参加。13年2月世界で8名が選ばれた国連WAFUNIF親善大使に、アジア代表として日本人で唯一選出される。その後、国連環境計画「地球の森プロジェクト」推進委員長、ワールドユースピースサミット平和大使などを務めた。國學院大學兼任講師。著書に『世界で1000年生きている言葉』(PHP文庫)『日本史を動かした歌』(毎日新聞出版)など。


編集後記

世界各地で1,000年以上語り継がれる言葉を〝言葉の世界遺産〟と名づけてはどうか。そう語る歌人の田中章義さんに、長寿の言葉の魅力・共通点をお話しいただきました。

2020年1月1日 発行/ 2 月号

特集 心に残る言葉

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