2 月号ピックアップ記事 /インタビュー
万事働きて益と為す 鈴木啓之(牧師/人生やり直し道場理事長)
穏やかな笑みを絶やさず、人生のやり直しを願う人々のために尽力する牧師・鈴木啓之氏。驚くべきことに、その前身はヤクザであったという。様々な反社会的行為に手を染め、命の危機に瀕するまでの奈落を彷徨った鈴木氏は、いかにして劇的な回心を遂げたのか。その波乱に満ちた道のりを振り返っていただいた。
起きてほしくなかった現実、それがあったからこそいまの自分がある。不利益に思えることも、実は益に変えられるんだと信じて生きることが大切
鈴木啓之
牧師/人生やり直し道場理事長
(鈴木さんは、牧師として人生のやり直しを願う人々の支援に尽力されていますが、以前は全く違う世界におられたそうですね)
鈴木
罪深い人生を歩んできました。高校を退学になってヤクザの世界に身を投じ、様々な罪を犯して刑務所に2度入りました。小指はご覧の通り二本ともありませんし、上半身は入れ墨で覆われています。賭博で億単位の借金を抱え、組から命を狙われていたこともありますから、いまこうして生きていることすら不思議なくらいなんですよ。
私はこうした恥ずかしい過去を、本や講演などで包み隠さず告白しています。それは、こんな自分でも人生をやり直せた事実を、いまどん底を彷徨っている人にぜひとも知ってほしいからなんです。
(やり直しの支援というのは、どのようになさっているのですか)
鈴木
本気でやり直したいと願う人に、そのきっかけを提供することをテーマに活動しています。
私が回心を果たした後にこの千葉県で開拓させていただいたシロアムキリスト教会で、平成二十一年に「人生やり直し道場」というNPOを立ち上げて、借金や薬物、法的な行き詰まりや家庭内の揉め事など、様々な問題を抱えた人の相談に、専門家の方々の協力も仰ぎながら応じています。26年にはある経営者の方から熱心なご依頼をいただいて、北海道のすすきのに「平成駆け込み寺」を立ち上げて同様の活動を行っています。
プロフィール
鈴木啓之
すずき・ひろゆき――昭和30年大阪府生まれ。高校中退後、ヤクザの世界に身を投じる。その後、博打による多額の借金を抱えて逃亡。回心の末に神学を学び、平成7年千葉県にシロアムキリスト教会を開拓。16年より府中刑務所教誨師。21年NPO法人人生やり直し道場設立。26年札幌にシロアムキリスト教会・平成駆け込み寺を開設。現在はふるさと志絆塾塾長も務め、国内外の青少年育成のための活動に尽力。著書に『誰だって人生をやり直せる』(飛鳥新社)『イレズミ牧師のどん底からの出発法』(講談社)など。
編集後記
牧師の鈴木啓之さんには、ヤクザから劇的な回心を遂げるまでの道のりと、人生のやり直し支援に懸ける思いを伺いました。
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