12 月号ピックアップ連載/私の座右銘
独自価値の創造 藤原 亨(クリナップ社長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。今回ご登場いただいたのは、システムキッチンのトップメーカー・クリナップの藤原 亨社長です。
今期就任した藤原社長は現場時代、開発リーダーとして看板商品の画期的なモデルチェンジを成功に導き、一時的に赤字に陥っていた同社が再浮上するきっかけを生んだ立役者。そのアイデアは業界全体に波及したそうですが、約10年後には会社最大の危機に直面されます。初めは意に沿わない配属を受けたそうですが、いかにしてチャンスを掴み、社内に革新を起こしてきたのか。道を拓く仕事姿勢、発想力、いかなる時もトップが立ち返るべき判断軸について語っていただきました。
「不満」にも満たない「非満」。現場や行動を観察することで非満は見えてきます
藤原 亨
クリナップ社長
元来、台所へ個別に備えつけるものだったシンクやガスコンロ、キャビネット(収納棚)を一体化した「システムキッチン」。これを日本で初めて開発し、普及させた専業メーカーが当社クリナップです。福島県広野町出身の井上登が1949年、東京都荒川区で興した座卓の製造販売業に端を発します。
創業77周年を迎えた本年、社長を拝命した私の入社動機は単純明快でした。
地元京都から念願の上京を果たし、美術大学で工業デザインを学んでいた私には常に競い合う友人がいました。就職先として目立つ分野ではなかった住宅設備に可能性を感じ、二人同じ業界で勝負しようと誓いました。
彼がキッチン業界大手の他社に入社し、私も当社以外目もくれず入社。晴れてキッチンをデザインできると思いきや、配属は浴槽などを手がけるサニタリーチームでした。
当社の売上構成は、キッチンが8割を占めます。これでは勝負にならない。キッチンチームへの異動には先輩達を追い抜く必要がありました。そこで仕事に打ち込む傍かたわら、事あるごとに社外のデザインコンペに応募。実力を示すチャンスを全力で掴んでいったのです。
とはいえ、7~8年は精進の時でした。この間、私を鍛えてくださった一人が創業者の故・井上登名誉会長(当時会長)です。……(続きは本誌をご覧ください)
~本記事の内容~
◇お客様も自覚していない不満ならぬ〝非満〟を探す
◇誰が正しいかではなく何が正しいか
プロフィール
藤原 亨
ふじわら・とおる――昭和41年京都府生まれ。平成元年東京造形大学卒業、クリナップ㈱入社。22年執行役員、24年開発本部長、26年常務執行役員を経て令和8年より現職。
編集後記
日本の台所を支えるトップメーカーに数えられるクリナップ。都内の本社に伺い、お目にかかった藤原社長の印象は、静かな中にものづくりへの情熱をたぎらせるデザイナーであり、同時にお客様や社員様との関係を通じ、絶えず自らを省みておられるリーダーでした。とりわけ組織で働く人、あるいは人を統べる立場にある人にとって、非常に具体的かつ永続的な指針になるお話が満載でした。ぜひご覧ください。

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