12 月号ピックアップ記事/インタビュー
経営は意志である 加賀谷輝雄(カガヤ前会長/カガヤ建設社長)

岩手県盛岡市を本拠地に、ファブリケータ―(鉄骨事業者)として「新国立競技場」「虎ノ門ヒルズ」をはじめとした建築物を支えるカガヤ。来年創業60年の節目を迎え、売上高は約280億円、従業員数は約400名に及ぶ。しかし、創業者である父親の急逝を受け、加賀谷輝雄氏が24歳で同社の舵を取った時は、社員数名の小さな鉄工所だった。貧乏や逆境に耐え、這い上がってきた歩みを辿りながら、組織を繁栄に導く秘訣に迫る。
【写真=一次加工から完成まで、すべて自社工場で手掛けるカガヤの鉄骨。感動する製品を目指し、品質管理を徹底している】

経営は意志である。目標に向かい、なり降り構わず、闘争心、ガッツ、執念を持って立ち向かえば、人も組織も発展していく
加賀谷輝雄
カガヤ前会長/カガヤ建設社長
――「虎ノ門ヒルズ」を筆頭に、国内有数のランドマークの鉄骨を手掛ける会社が岩手県盛岡市にあると伺い、やってまいりました。
〈加賀谷〉
カガヤは経営理念「会社の発展がお客様や地域のおかげであるとの感謝を忘れず 事業を通じ感動を届ける企業を目指す」を旗印に、建築物に用いる鉄骨の設計から製造、施工までを一気通貫で手掛けてきました。息子の浩一に事業継承し、私は2020年に会長職を退きましたが、76歳のいまなおグループ会社のカガヤ建設やカガヤ不動産の経営を担い、毎日6時に出社しています。
――来年創業60周年の節目を迎えるそうですね。
〈加賀谷〉
小さな鉄工所からスタートしたことを思うと、よく潰れなかったなというのが本音です。私は運がよくて、岐路に立つ度に必ず手を差し伸べてくださる方が現れるんです。おかげさまで全国の建設現場から依頼が舞い込み、2025年の売上高はグループ全体で約280億円、従業員数は400名を超える規模に成長しました。
――今日まで発展し続けてきた要因はどこにあるのでしょうか。
〈加賀谷〉
常に心懸けてきたのは、感動する製品をつくること。創業期は素人同然で、「こんな出来映えでよくお客様からお金をいただけるよな」とうなだれていました。それがもう悔しくてね。
お客様が感動してくださる以前に、自分たちの製品に感動しなければ意味がない。「これは俺たちがつくったんだ」と誇れるモノをつくって初めて、お客様に喜んでいただける。だからこそ、感動する製品を生み出すための環境を整えてきました。
例えば、同業他社には鋼材の一次加工は下請けに任せる会社が多い一方、私たちは一次加工から完成まで、すべて自社工場で行います。これによって生産スピードをコントロールできるため、納期の遅延はまず起こりません。さらに、高い内製比率のおかげで隅々まで目が行き届き、品質管理の徹底と業務効率向上に繋がっています。
絶えず技術力も磨き、昨年には鉄骨工場の製造能力や設備、技術者の人数に応じて決まる国の認定制度において、最上位の「Sグレード」に認定されました。東北に数多の鉄骨業者がある中で、Sグレードは当社しかありません。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~(全4ページ)
◇感動する製品をつくる その思いで歩み来て60年
◇「嘘をつくな、一所懸命やれ」
◇会社発展の要は人づくり
◇かくしてリーマンショックの危機を乗り越えた
◇目標に向かい、執念を持って立ち向かう
プロフィール
加賀谷輝雄
かがや・てるお――昭和25年岩手県生まれ。41年山田中学校卒業後、飲食店勤務を経て、加賀谷鉄工所(現・カガヤ)に入社。49年社長就任。平成25年会長就任。30年「岩手日報文化賞(産業部門)」授与。令和2年会長退任。現在はグループ会社のカガヤ不動産で会長、カガヤ建設で社長を務める。
編集後記
9月29日(火)、岩手県盛岡市に本社を構えるカガヤ建設を訪ねると、20年来の『致知』愛読者である加賀谷輝雄さんは満面の笑みを浮かべて迎えてくださいました。なぜ東北に拠点を置く鉄骨事業者に全国各地の建設現場から依頼が殺到するのか。終始イキイキと話される加賀谷さんの姿から、その所以や人間的魅力を感じ取ることができました。

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