12 月号ピックアップ記事/インタビュー

目に見えるものよりも、目に見えないものを 福井 生(止揚学園園長)

自然豊かな滋賀県東近江市。重度の知的障碍がある38名とスタッフが生活を共にする止揚学園は、その住宅街の一角にある。皆が一つの家族のように歩む温かい園の雰囲気を慕って全国から訪問者が絶えないが、その雰囲気はどのように醸成されていったのだろうか。園長の福井生氏にお聞きした。
【写真=止揚学園では、障碍のある方々とスタッフが家族のように支え合い、交流を深めている】

人間は何かを得て変わるわけですが、反対に何かをなくして変わることもあるのではないかと私は思っています

福井 生
止揚学園園長

──止揚学園では障碍のある方やスタッフが共同生活をされています。皆さん、まるで家族のように仲がよいそうですね。
 
〈福井〉 
そうおっしゃっていただいて嬉しいです。現在この園では知的に重度の障碍がある26歳から77歳まで38人の仲間が生活しています。それを支えるスタッフが50人ほどいて、その中には園長の私の家族を含めて園に住み込んで共同生活を続ける人もいます。
 
学園は1962年、クリスチャンだった父・福井達雨が創立し、今年で64年。私が幼い頃から50年、60年と一緒に歩んできた仲間もいますから、自然と家族のようなよき雰囲気が醸成されたのでしょうね。
 
──福井さんご自身も、園でお生まれになったのですか。
 
〈福井〉 
その通りです。物心つく頃には障碍のある仲間たちが共にいてくれて、私を負んぶしてくれたり、乳母車を押してくれたりしていたことなどを元理事長の母から聞かされてきました。私にとって仲間たちはそのくらい身近な存在でもあるんです。
 
と同時に学園は仲間たちの終(つい)の棲家ともなっています。敷地内に納骨堂があるのですが、障碍のある人もご家族も私たちスタッフも、共に人生を歩んだ仲間として死後、納骨されることを希望する人が多くいます。現在106人の方が眠っていらっしゃいます。……(続きは本誌にて)
 
~本記事の内容~(全4ページ)
◇一つの家族として共に生きる
◇知的障碍児の幸せのために
◇「心の言葉」に耳を傾ける
◇失って初めて変わるものがある

プロフィール

福井 生

ふくい・いくる――昭和41年滋賀県生まれ。同志社大学神学部卒業後、2年間の出版社勤務を経て、止揚学園に職員として勤務。平成27年から園長。


編集後記

滋賀県東近江市の止揚学園では、障碍のある方々とスタッフが家族のように支え合い、交流を深めています。同園の大きな特徴は、スタッフの皆さんが障碍のある方々の心の声に耳を傾けながら、共に喜びを共有し幸せになろうとしていることです。園長の福井生さんにその思いをお話しいただき、感動に包まれました。

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