12 月号ピックアップ記事/インタビュー

読書文化の灯を点し続ける 高井昌史(紀伊國屋書店会長)

熊本県の西北端に位置する人口5万人弱の街・荒尾市。この地に、全国から大きな注目を集めている図書館がある。旧館から生まれ変わった新生・荒尾市立図書館に、多数の利用者が訪れ、街の新しいシンボルとして地元に大きな活力をもたらしているという。書店経営者としてこのリニューアル・プロジェクトに参画した高井昌史氏は、いかにして地方の街に光を点したのか。その根底にある読書文化に懸ける思いに迫った。
【写真=紀伊國屋書店と隣り合わせになっている新生・荒尾市立図書館。移転オープン後の来館者数は5年目で累計100万人を超えた】

国民が本を読む力は、国力に直結します。読書文化の灯を点し続けることで、世界における日本の存在感は再び大きく広がっていくと僕は信じています

高井昌史
紀伊國屋書店会長

――高井会長がリニューアルに尽力された熊本県の荒尾市立図書館は、来館者が急増して街全体も活気づき、全国の自治体から大きな注目を集めているそうですね。
 
〈高井〉 
とにかく本に触れる人を一人でも増やしたい一心で取り組みましてね。おかげさまで開館5年目の今年、累計来館者数が100万人を突破しました。
 
荒尾市は、熊本県の西北端にある人口5万人弱の街です。図書館の来館者数は2021年度に2万1773人でしたが、リニューアルした翌2022年度には28万4244人と、初年度から10倍以上に増えたのです。
 
――新生・荒尾市立図書館は、どんな図書館なのですか。
 
〈高井〉 
市の買い物拠点である「ゆめタウンシティモール」の中に移転されて、当社が指定管理者として運営に携わっています。
 
フロアは1,000坪だから、旧館の4倍です。ショッピングモールの中にあり、夜の8時まで開館して利便性を高めたこともあって、県外からもたくさんの方が訪れています。嬉しいのは、小中高生がたくさん利用してくれていて、高校生が小学生に勉強を教える光景も見られるそうです。これは、館内に時間制限なしで利用できる学習室や、読み聞かせができるコーナーを設けたことも奏功していると思います。
 
――地元の教育にも貢献しているわけですね。
 
〈高井〉 
それから、……(続きは本誌にて)
 
~本記事の内容~(全4ページ)
◇人口5万人弱の街で累計来館者数百万人を突破
◇図書館と本屋は共存できる
◇覚悟を持って取り組めば地域は必ず活性化する
◇公共図書館の設立に情熱を傾けて
◇読書文化を育み日本の存在感を高める

プロフィール

高井昌史

たかい・まさし――昭和22年東京都生まれ。成蹊大学法学部卒業。46年紀伊國屋書店入社。各地の営業所長などを経て、図書館の新設、学術情報のデータベース化などの業務にも携わる。平成5年取締役に就任。常務、専務、副社長を経て、20年社長に就任。27年より会長を兼務。令和5年より現職。学校法人成蹊学園評議員、学校法人都築第一学園理事などを務める。著書に『本の力─われら、いま何をなすべきか』(PHP研究所)『奇跡のプロジェクト 図書館が街を変えた!─新生・荒尾市立図書館の挑戦』(東洋経済新報社)など。


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