6 月号ピックアップ記事 /百年企業はどこが違うのか
創業208年 榮太樓總本鋪 細田将己(榮太樓總本鋪社長) 藤間秋男(TOMAコンサルタンツグループ会長)

梅ぼ志飴や金鍔、甘名納糖など、江戸情緒に満ちた和菓子の数々で知られる榮太樓總本鋪。順調に業容を拡大した草創期から一転、戦後は廃業の危機から立ち上がり、目まぐるしい時代の変化と対峙しながらブランドを守り抜いてきた。現社長の細田将己氏に、同社の足跡と自身の取り組み、そして長く続く企業の条件を伺った。

この事業を未来へ繋げていきたいと心の底から思っているかどうか。
まずは意志だと思うんですよ
細田将己
榮太樓總本鋪社長
〈藤間〉
御社は、江戸時代から親しまれてきた和菓子の老舗として知られています。私は御社の先代と年齢が近く、青年会議所時代から懇意にしていただきました。いまは代替わりされて、いろんなことに取り組まれているようですね。社長に就任なさったのは……。
〈細田〉
2023年です。僕が社長になった時の第一声は、皆の給料をもっと上げたいということでした。
給与水準の低い業界だからとか、中小企業だからとか、そんなことは言い訳にしたくない。我々はこんなにおいしい和菓子を提供しているし、この事業を通じて日本文化の伝承にも貢献している。だから社員の皆には、もっとハッピーになってもらいたいんです。
なぜそうしなければならないかといえば、この榮太樓というブランドをこの先の未来に繋いでいくためです。
そのためには社長の僕がそれを願っているだけではダメで、一緒に働く社員がハッピーでない限り繋がるわけがない。榮太樓の看板をこれから先300年、400年と繋いでいくことを、皆にも我が事として取り組んでほしいし、利益を出して共にハッピーになっていこうと言い続けているんです。
〈藤間〉
預かった看板を未来へ繋いでいくために一緒に頑張ろうと。
〈細田〉
そうです、大切な預かりものなんですよ。会社は大体3代で潰れるといわれる中で、当社が十二代目の僕まで続いてきたのは、歴代当主がこの看板を守るために責任を持って事業に取り組み、それをたくさんの先輩社員たちが支えてくれたからだと思います。
社内ばかりではありません。お客様の心の中にも、榮太樓のお菓子にまつわるいろんな思い出が残っている。僕はそこに込められたたくさんの思いを絶対に裏切りたくないし、少しでもよい形で未来に繋いでいきたいんですよ。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇看板に込められた思いを裏切りたくない
◇番付1位の人気を博す
◇デパ地下の原点となった共同出店
◇時代の変化を乗り越えて
◇この会社は絞ったことのない雑巾だ
◇この事業を未来へ繋ぐ意志はあるか

〈ホスト〉
藤間秋男(とうま・あきお)
TOMAコンサルタンツグループ会長
昭和27年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。公認会計士税理士。明治23年創業の藤間司法書士事務所の末裔として、昭和57年藤間公認会計士税理士事務所を新規創業。230名の総合コンサルファームにTOMAグループを成長させ、平成29年より会長。著書に『中小企業の事業承継はじめに読む本』(すばる舎)『100年残したい日本の会社』(扶桑社)など多数。
プロフィール
細田将己
ほそだ・まさき――昭和48年東京都生まれ。平成10年米国ベントレー大学卒業、三井物産入社。平成19年榮太樓總本鋪入社。令和元年細田協佑社社長。令和5年榮太樓總本鋪社長に就任。
編集後記
事業承継コンサルタントとして百年続く企業づくりに取り組む藤間秋男氏が、百年企業の強さの秘密を探る本連載。第6回となる今回は、和菓子の老舗として江戸時代から親しまれてきた「榮太樓總本鋪」の細田将己社長にご登場いただきました。淡々とした語り口の奥に、預かった看板を未来へ繋いでいこうとする情熱が垣間見えました。

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