日本のエネルギー供給はどうなるか 藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)

終わりの見えないアメリカ・イスラエルとイランの戦争。ホルムズ海峡の封鎖による石油危機など、私たち日本も無関係でありません。長年エネルギー問題について研究を重ねてきた藤和彦さんに、これからの石油を巡る動き、日本がとるべきエネルギー政策について提言していただきました。

読者の皆さんに訴えたいのは、自国の力にもっと自信を持ってほしいということである。
日本はこの程度の危機で倒れることはない。
浮き足立つことなく、各々が普段通りに成すべきことに邁進してゆけば、それが結果的に国の混乱を未然に防ぎ、事態の打開にも結びついていくと私は信じている

藤 和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー

<藤>
「灰色のサイ」という経済用語をご存じだろうか。普段はおとなしいが、暴走すると誰も止められないサイの特性に由来する言葉で、発生する確率の高い大問題にも拘らず、無視・軽視されがちな潜在的リスクをいう。この度の中東危機がまさにそうである。

ここ数年、イランの核・ミサイル開発に危機感を募らせていたアメリカとイスラエルは、今年の2月末に遂に軍事攻撃を敢行。イランはこれに応戦し、ホルムズ海峡の封鎖を宣言した。ホルムズ海峡といえば、日本のタンカーの約9割が通過する原油調達の喉元である。この中東危機を受け、日本のエネルギー事情はにわかに緊迫した局面を迎えたのである。

ホルムズ海峡が封鎖されたら大変なことになるというのは誰しも理解はしていたが、本気でそうなるとは思っていなかった。よもやこっちに来ることはないだろうと高を括っていたサイが、遂に角を振りかざして突進してきたのがいまの状況といえる。

私は通産省(現・経済産業省)でエネルギー政策等に携わった後、石油公団や内閣情報調査室などを経て、現在経済産業研究所に所属。中東を含む国際地政学を踏まえて20年以上にわたり石油市場をウォッチしてきた。巷では緊迫するイラン情勢を受けて、日本がエネルギー危機に陥るといった不安を煽る言説も流布しているが、私は専門家として、過度な心配は無用と最初に指摘しておきたい。……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇エネルギー危機は起こるのか?
◇中東以外からも石油は調達できる
◇危機はパニックから始まる
◇原油調達先は国益を踏まえて増やすべき
◇日本の力にもっと自信を持とう

本記事では石油問題に通暁する藤さんに、これからの石油を巡る情勢、そして日本がとるべきエネルギー政策について提言していただきました。ぜひご覧ください。

プロフィール

藤 和彦

ふじ・かずひこ――昭和35年愛知県生まれ。59年早稲田大学法学部卒業。通商産業省(現・経済産業省)入省。警察庁、石油公団を経て、平成15年内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)。その後世界平和研究所を経て、28年経済産業研究所(RIETI)上席研究員。令和3年より同コンサルティングフェロー。著書に 『大油断:日本が陥る史上最悪のエネルギー危機』(方丈社)など。


2026年5月1日 発行/ 6 月号

特集 人間を磨く

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