6 月号ピックアップ記事 /エッセイ
子供たちが目を輝かせる武士道の授業 服部 剛(授業づくりJAPAN 横浜《中学》代表)

碩学・安岡正篤師は、人間の見識を養うためには、古典と歴史と人物の研究を徹底しなければならないと説いた。これは、いまの教育に大きく欠けているものともいえるだろう。こうした中、独自の歴史教育を実践してきた服部剛氏の授業は、生徒が目を輝かせて聴き入るという。氏が子供たちに語り続けてきたもの、そして次代に語り継ぎたい日本の心とは──。
先人たちが体現してきた武士道精神を通じて自分を磨き、次代を担う子供たちの心を育むこと。
これこそが自分の使命と心に刻んで、私はこれからも我が国の貴重な歴史を語り続けていく覚悟です
服部 剛
授業づくりJAPAN 横浜《中学》代表
<服部>
私は子供の頃から、大好きな歴史小説や武道の先生方を通じて日本の先人たちの生き方を学び、大きな感化を受けてきました。大学卒業後、学習塾の講師を経て念願の教職に就いたのは平成元(1989)年、27歳の時でした。ところが、当時の教育現場は日本の戦前を否定的に捉える自虐史観に傾いており、日本の美点が生徒に十分伝承されていないことを痛感させられました。
日本の歴史には、2つの特徴があると私は考えます。一つは、天皇を中心とする国であること。もう一つは、大半の時代を武士が中心となって国造りに邁進してきたこと。特に2つ目の特徴は、日本人の精神のベースともいえる武士道が根づく要因となりました。
ところが、学校の授業では天皇も武士道も教えられておらず、ただ昔の出来事を年代順に教えていくだけ。こんな無味乾燥な授業では、日本とは何か、それを踏まえて自分はどう生きるべきかを考える糸口すら掴めません。
どうすれば生徒たちが日本の歴史をもっと理解し、日本人として生まれてきたことに誇りを持ってもらえるだろうか。私は試行錯誤を重ね、歴史的事実や偉人の話を素材に、10年がかりで武士道をベースとする独自の授業スタイルを確立したのです。
残念ながら、当初は周囲から十分な理解を得ることができず、様々な批判を受けてきました。武士道は封建的で古臭いものという認識が、教師仲間の間にも根強くあったのです。これは、戦後にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が行った占領政策によって、日本の強さの源であった伝統的価値観が徹底的に排除されたことに起因します。武士道も当然その中に含まれていました。
しかし逆に考えれば、GHQが禁止したものこそ日本にとって極めて大切なものであったといえます。だからこそ教えなければならないのだ。私はそう肚を括り、周囲からの批判にも屈することなく、授業を通じて武士道の精神を伝承し続けてきたのです。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇日本人に生まれたことに誇りを持てる授業を
◇己の命を日本を守るために使い切った北条時宗
◇負ける戦にあえて身を投じた楠木正成
◇捕虜に惻隠の情を示した松江豊寿
◇この短い人生で何を成し遂げるか
長年子供たちに「武士道の授業」を続けてきた服部さんの実践には、子供たちの日本人としての誇りを養い、人間力を高める教育のヒントが満載です。ぜひご覧ください。
プロフィール
服部 剛
はっとり・たけし――昭和37年神奈川県生まれ。元横浜市中学校社会科教諭。令和8年3月退職し、歴史研究に専念。「授業づくりJAPAN横浜《中学》」代表。NPO法人「歴史人物学習館」理事。著書に『感動の日本史』(致知出版社)『先生、日本ってすごいね』(高木書房)『先生、日本のこと教えて—教科書が教えない社会科授業』(扶桑社)などがある。
編集後記
授業づくりJAPAN横浜《中学》代表の服部剛さんが実践してきた武士道の授業は、過去の出来事を時系列で紹介するだけの無味乾燥な歴史の授業とは一線を画すものです。私たちも『致知』を通じて、若い世代に日本の大切な歴史や精神を継承していく決意を新たにしました。

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