6 月号ピックアップ記事 /エッセイ
磨いたら磨いただけは光あり ~名僧・山本玄峰の生き方が教えるもの~ 久保隆一(山本玄峰老師頌徳会 会長)

眼病による失明の危機など、様々な艱難辛苦に耐えながら、過酷な修行を生涯続け、「今白隠」と称された名僧・山本玄峰。玄峰老師の郷里に設立された山本玄峰老師頌徳会 会長の久保隆一氏に、その波乱に満ちた96年の生涯、いまなお輝きを失わない珠玉の教え、平和への祈りを紐解いていただいた。
【写真=©『無門関提唱』(大法輪閤)】
陰徳の積み重ねが大きな徳となって、人間を大きくし、不可能を可能にしてしまう。
目立たぬように、際立たぬように、さりげなく行え
山本玄峰(やまもと・げんぽう)
江戸時代末期、和歌山県に生まれる。若い頃に眼を患い四国遍路の途中、土佐雪蹊寺の山本太玄に出会い得度。滋賀永源寺、神戸祥福寺などを行脚。雪蹊寺住職となり、京都円福寺の見性宗般に師事して嗣法。大正4(1915)年龍澤寺に入山。海外での禅の布教にも尽力。昭和36(1961)年遷化。著書に『無門関提唱』。

修行は修行でも、見えないところ、即ち「心」「精神」を鍛錬し、その自分をもって、人に分からないところで、人のためになることを黙々と実践し積み重ねていく。
これが玄峰老師の基本となる考え方であり、よりよい人生、社会を実現する要諦なのだと思います
久保隆一
山本玄峰老師頌徳会 会長
<久保>
人生の様々な艱難辛苦に耐えながら、厳しい修行を重ね、「今白隠」とまで称された名僧・山本玄峰(げんぽう)老師。その教えは多くの政財界の要人を導き、昭和天皇の「終戦の詔勅」や日本国憲法の制定にも影響を与えたとされています。
戦後生まれの私は玄峰老師と世代が違うこともあり、お目に掛かる機会はありませんでしたが、いみじくも老師と同じ和歌山県田辺市本宮町渡瀬の地で生まれ育ったことにご縁を感じてきました。
この渡瀬から大変立派な方が出ているんだぞ─。子供の頃から父に老師の話を聞かされていましたが、当時はそれ以上の詳しいことは全く知らなかったというのが本音です。
しかし、23歳の時、勤めていた和歌山市から父の事業を継ぐためにUターンで郷里に帰ったことが転機となりました。青年団や商工会の地域活動に取り組んでいく中で、山本玄峰老師頌徳会のメンバーと出逢ったのです。
予て父から聞いた玄峰老師のことをもっと知りたいと思っていた私は、頌徳会に入会することに決め、以後老師について本格的に勉強するようになったのでした。
頌徳会は、「地元の偉人 山本玄峰をより多くの方々に知って頂き、その遺徳にあずかり、地元の心の遺産として磨き輝かせたい」との思いから、元本宮町助役/初代会長の森行光氏のもと、平成2年6月2日に会員57名で設立されました。活動としては、老師にご縁のある方々をお招きした講演会や禅画報(玄峰老師特集号)の本宮町全住民への配布など様々な取り組みを行ってきました。
また、老師は昭和36年6月3日に96歳で亡くなられましたが、毎年6月2日の墓地及び本宮町湯峯にある「玄峰塔」の清掃活動、三日命日の墓参、玄峰塔前の広場にて行われる法要(毎歳忌)は、特に頌徳会、地元を挙げて開催される行事です。地元の方々だけではなく、県外からも多くの方に参加していただいています。
「玄峰塔」の大字は、老師が亡くなる20日前、「地元の方に頼まれていることがある」と言って布団から起き上がり、背中を支えてもらいながら揮毫されたものです。これが老師の絶筆とされており、昭和37年9月28日、地元有志により石碑としていまの場所に建立されました。とても96歳、亡くなられる20日前に書かれたとは思えないほどの気力に溢れた字で、圧倒されるばかりです。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇いまも人々の心に生きる山本玄峰老師
◇死ぬための旅から生き抜くための旅へ
◇心の目が開けば本物の坊主になれる
◇人一倍の地道な努力が己をつくり、道を開く
◇世界的な視野を持った仏教者として活躍する
◇戦後・日本を救った玄峰老師の人間力
◇磨けば磨いただけ人間は光り輝くもの
稀代の名僧・山本玄峰老師の生き方が教えるものは何か――。久保会長が様々な逸話を交えて語ります。ぜひご覧ください。
プロフィール
久保隆一
くぼ・りゅういち――昭和23年和歌山県田辺市生まれ。和歌山市の企業に就職後、23歳の時にUターンで郷里に帰り、家業に入る。郷土の偉人・山本玄峰老師を顕彰する「玄峰老師頌徳会」に入会。平成14年会長に就任。
編集後記
生涯を通じた厳しい修行に取り組み、「今白隠」と称された山本玄峰老師。玄峰老師の郷里に設立された山本玄峰老師頌徳会の会長として、その人となりや教えの伝承に力を尽くしてきたのが久保隆一さんです。久保さんが語る玄峰老師の姿に、命尽きるまで修養を重ねる気概を学びます。

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