11 月号ピックアップ記事 /第一線で活躍する女性
祈りのレベルを上げて、魂を成長させる 小松美羽(アーティスト)
2020年8月、コロナ禍の中で放送され話題となった『24時間テレビ』。豪華出演者に交じって一際異彩を放っていたのが、アーティストの小松美羽さんです。番組のTシャツデザインを手がけた他、放送の最中に背丈を超すキャンバスと向き合い、迫力あるライブペインティングを実演され感動を呼びました。祈りや「大和力」を背景に神獣とその世界を描き上げる小松さんは、どのような半生を過ごし、唯一の表現に辿り着いたのか。近年国際的にも評価を高める気鋭のアーティストの言葉に迫ります。
小松美羽
アーティスト
──小松さんの絵は国内に留まらず、海外にも熱烈なファンが大勢いらっしゃると伺いました。
〈小松〉
私は根本的に「大和力」というものをすごく大切にしているのですが、それを様々な場で発信しているためか、〝日本らしさを世界に発信している〟と勘違いされることがあります。
しかし、「大和力」とは単に〝日本らしさ〟ではなく、日本が古来持っている、様々な文化を組み合わせまとめ上げていく力や方法のことを指しているんです。文化や宗教、歴史など、異なる背景を融合する力が「和」であり、その複数形が「大和」だと考えています。
今年8月に放映された『24時間テレビ43』(日本テレビ)の「チャリTシャツ」のデザインを手掛けましたが、中央にいる2体の狛犬の上に鳩を描きました。これはイスラエルでの体験を元に描いたものです。イエス・キリスト様がヨルダン川で洗礼を受け、3回沐浴をしたといわれる場所に足を運んだ時、ヨルダンとイスラエルの国境を白い鳩が自由に飛んでいったんですね。国境や差別意識などは人間が勝手につくり出したものであって、動物は何も囚われていない。その姿こそまさに私が表現したいアートそのものだったのです。
ライブペイントでは、絵具をチューブからそのままキャンバスに載せていく
2020年8月の『24時間テレビ43』の番組内で制作された作品。2,054万円で落札
プロフィール
小松美羽
こまつ・みわ――1984年長野県生まれ。女子美術大学短期大学部卒業。20歳の時に制作した銅版画「四十九日」がプロ活動への足掛かりに。2014年出雲大社へ絵画「新・風土記」を奉納。2015年有田焼の狛犬「天地の守護獣」が大英博物館日本館へ永久展示。2019年VR作品『INORI~祈祷~』が第76回ヴェネツィア国際映画祭VR部門にノミネート。2020年日本テレビ『24時間テレビ43』の「チャリTシャツ」のデザインを担当。国際的な評価は高く、多方面でその存在感を増し、日本の美術界へ衝撃を与えている。著書に『世界のなかで自分の役割を見つけること』(ダイヤモンド社)など。
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