指導者の仕事は根を養う土壌や水、肥料となって養分を与えてあげること 岩城規彦(中村学園女子高等学校剣道部顧問)

「一流の選手である前に、一流の高校生たれ」。そう生徒たちを指導しているのが、昨年のインターハイで4連覇を成し遂げた中村学園女子高校剣道部監督の岩城規彦氏である。独自に編み出した〝心を鍛える指導〟により、一人ひとりの精神を鍛錬し、スキルを向上させているという。そんな岩城氏が語る、よい選手の条件、指導者の心得とは――。

〝何のために〟が明確になっている人ほど強いですね

岩城規彦
中村学園女子高等学校剣道部顧問

――今夏は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国高校総体(インターハイ)が全種目において中止となりました。高校生にとっては喪失感も大きかったのではないかと思います。

岩城
 今年のインターハイは団体戦で5連覇を懸けた大会でもあったため、高校3年生は特に辛かったと思います。次の大会の予定も決まっていないので、突然子供たちの目標がなくなり、モチベーションをどこに定めたらいいのか、皆が模索している状態です。
 ただ、武道は本来、技術よりも〝道〟を追い求めるもので、鍛錬を通じて人間形成を図るのが目的です。目標が見えていない中でも、人間性を磨くという目的がはっきりしているため、いまは心を強化する時期だと受け止めています。

――ああ、精神面を鍛える時だと。

岩城
 子供たちには剣道を通じてどういう人間になりたいのかを考えなさいと繰り返し説いています。スキル面においては、体力差や生まれ持った能力の違いもあって、やはり限界が生じます。しかし精神面には限界がありませんので、これも一つのチャンスだと捉え、日頃忙しくてなかなか教えきれなかったことを子供たちに伝えようと取り組んでいるところです。

ある部員の日誌(2020年7月のもの)

プロフィール

岩城規彦

いわき・のりひこ―昭和44年山口県生まれ。福岡大学付属大濠高校、福岡大学卒業。母校の大濠高校で1年、中村学園三陽中学で5年の勤務を経て、平成9年に中村学園女子高校に赴任。28年から令和元年まで、インターハイ4連覇中。


編集後記

人間教育に重きを置いた中村学園女子高校剣道部監督の岩城規彦さんのお話から、教育のあるべき姿が見えてきます。

2020年10月1日 発行/ 11 月号

特集 根を養う

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