11 月号ピックアップ記事 /対談
「365人の生き方」のドラマが教えるもの 国分秀男(東北福祉大学元特任教授) 中 博 (「中塾」代表)

シリーズ累計38万部を突破した弊社書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』と『同・生き方の教科書』。一流プロたちの逸話を1日1話形式で読める永久保存版の本書は、読者や書店員からの反響も大きいが、何よりの特徴は365人の登場者自身からの感動の声である。『生き方の教科書』に名を連ね、同書を深く読み込んでいる国分秀男氏と中 博氏のお二人に、本書の魅力を縦横に語り合っていただいた。

《「教科書シリーズ」とは?》
『致知』の1万本以上に及ぶ対談やインタビューの中から、弊誌主幹と編集部が総力をあげてセレクトした傑作選。稲盛和夫氏、五木寛之氏、王貞治氏、瀬戸内寂聴氏、柳井正氏、山中伸弥氏など365人の各界の一流プロの実話を、1ページ1話形式で収録しました。1年以上に及ぶ制作期間と、『致知』44年間の歴史によって紡がれた、各424ページにわたる永久保存版です。

「それぞれの『教科書シリーズ』の読み方」
〈国分〉
それにしても、私たちの話も収録していただいたこの「教科書シリーズ」はいい本ですねぇ。月刊誌『致知』と併せて多くの人に読んでほしい本です。
私はね、この本が発売された直後に一度さーっと目を通し、いまは毎朝、前日と当日の2つのページを読むようにしています。私は忘れっぽいので、必ず昨日読んだ話をもう一度読んで噛み締めています。1日2話ずつ、しかも2冊ありますから、毎朝4話読むんです。と言っても、15分ほど時間があれば読めてしまいますから、朝一番の習慣になっています。
昔は真っ先に新聞を読んでいましたが、最近は暗いニュースばかりですので、「教科書シリーズ」を読んで、「よし、きょうもやるぞ!」と気合いを入れてから1日をスタートするように変えました。
〈中〉
私も当日のページはまず読みますが、それに加えて何か予定の入った日を読むんです。用事がある日にこの分野の方がこういう内容を語っているということは、こういう兆しがあるのではないか……そんなことを考えながら活用させてもらっています。
松下幸之助さんも直感や予兆を非常に大切にされる方で、京都南禅寺横に真々庵という別邸を設けて、日常的に思索に耽っておられました。もし松下さんがいま生きておられたら、この「教科書シリーズ」を毎日本当に素直な気持ちで読まれたであろうと思います。
国分秀男
東北福祉大学元特任教授
中 博
「中塾」代表
〈国分〉
私が「教科書シリーズ」に登場されている方やその記事の根底に共通していると感じたのは、2600年の長い歴史が築いてきた「日本人の素晴らしい精神」です。どの話も実体験を通じてこういう考え方、生き方が大事だよと教えてくれている。「日本人よ、このままでいいのか」「日本よ頑張れ! 日本人よ頑張れ!」というエールが聞こえてくるようです。
〈中〉
私はいまの日本は衰退期ではなく、衰亡期に入っていると危機感を抱いています。2030年というそう遠くない未来の日本がどうなっているのか……、いまここで立ち上がらないと、本当に衰亡への一途を辿ることになるでしょう。私には「教科書シリーズ」に登場された方々の話が、「この日本を、いまを生きるあなたが何とかしてほしい」という心の叫びに聞こえてなりません。
この「教科書シリーズ」はものすごく重厚な本であり、我われが王道の生き方を取り戻す教科書です。私があえて付け加えたいのが、この「教科書シリーズ」の登場人物は、メディアで名の通った著名人だけではないということです。市井の方々が多数ご登場されており、そうした方々の生き方、宝石のようにきらりと光る言葉が心に迫ってくるのです。有名無名問わず、そうした本物の人物を取り上げた本書は、21世紀を生きる我われの、生き方の百科事典ですよ。格好つけた言葉は好きではありませんが、次の日本のために行く末を照らす北斗七星だと思います。
〈国分〉
さすが、いいことをおっしゃいますね。そしてこれはすべて実話だからいいんですよね。
〈中〉
そう、その通り。
〈国分〉
作家が書いたフィクションじゃない、一人ひとりが実体験を通じて掴んだことが書かれているから、説得力もあるし、多くの人が読んで素直に共感できるのです。
プロフィール
国分秀男
こくぶん・ひでお―昭和19年福島県生まれ。慶應義塾大学卒業後、京浜女子商業高等学校(現・白鵬女子高等学校)を経て、48年宮城県の古川商業高等学校(現・古川学園)に奉職。商業科で教鞭を執る傍ら、女子バレーボール部を指導。全国大会出場77回、うち全国制覇10回。平成11年には史上5人目の3冠(春、夏、国体)の監督となる。8年から春夏ともに4年連続決勝進出という高校バレー史上初の快挙を成し遂げる。
中 博
なか・ひろし―昭和20年大阪府生まれ。44年京都大学経済学部卒業後、松下電器産業入社。本社企画室、関西経済連合会へ主任研究員として出向。その後、ビジネス情報誌『THE21』創刊編集長を経て独立。廣済堂出版代表取締役などを歴任。その間、経営者塾「中塾」設立。著書に『雨が降れば傘をさす』(アチーブメント出版)がある。
編集後記
きっかけは1本の電話でした。『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』発刊に際し、ご登場者に同書をお送りしたところ、感動の声を直に寄せてくださったのが、東北福祉大学元特任教授の国分秀男さんと中塾代表の中博さんです。『同・仕事の教科書』と共に本書を丹念に読み込むお二人にその魅力や活用法を伺いました。

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