10 月号ピックアップ記事 /インタビュー
日本人は強いんです! 三﨑和雄(元格闘家)
総合格闘技のPRIDEウェルター級チャンピオンとして世界の強豪と数々の激闘を繰り広げ、その不屈の姿勢を通して多くの人々に感動を与えてきた三﨑和雄氏。現役引退後は、地元の千葉県香取市で道場を開き、主に子供たちを対象に武道や農業を通じた人間教育に力を尽くしている。並々ならぬ覚悟と努力によって格闘家としての道を開いてきた三﨑氏に、自らの人生、闘いの中から掴んだ「生き方の法則」、そして自らの使命について語っていただいた。
世界を相手に闘っていく中で、先人たちの精神、日本人としての魂を守り伝えていくことが、格闘家として自分の使命であると深く自覚するようになりました。やっぱり家族なり、先人たちの精神なり、守るべきもののために闘う時、人は本当に強くなれる、優しくなれるんですね。
三﨑和雄
元格闘家
〈三﨑〉
人生を変える大きな転機が訪れました。1996年、20歳の時、保育園、小学校から親しかった仲間たちと飲みに行って、その帰りに交通事故に遭ったんです。飲酒運転でした。
運転していたのは幼馴染みのトモカズでしたが、助手席にいた私ともう1人の友人は車中で寝ていました。そしてはっと気づいた時には病院のベッドの上にいて、咄嗟に「トモカズはどうした?」と声を上げたのですが、既に彼は亡くなっていた……。即死でした。
葬儀の日、トモカズのお母さまに言われた言葉がいまも忘れられません。それは「トモカズの分も生きてね」という言葉でした。
幼い頃から一緒だった仲間が突然いなくなってしまった。当時の私には、その言葉の意味が分からなかったし、受け止める力もありませんでした。それからは何のやる気も起こらない抜け殻状態で、その頃サーフィンを始めていたのですが、海に行ってもただプカプカ浮かんでいるだけ。どうやって生きていけばいいのか、全く答えは見つかりませんでした。
――その苦悩をどのように乗り越えていかれたのですか。
〈三﨑〉
ある時、テレビをつけると、400戦無敗、世界最強と称されたヒクソン・グレイシーの総合格闘技の試合をやっていたんです。
それを見た瞬間でした。「これだ!」と衝撃が走り、「トモカズの分も生きてね」という言葉が蘇って、「俺はトモカズと一緒に世界で一番強い男になる」と覚悟が決まったんです。ヒクソン・グレイシーの圧倒的な強さと存在感が私の魂を揺り動かしたんですね。
プロフィール
三﨑和雄
みさき・かずお――昭和51年千葉県生まれ。平成元年小見川中学校入学後、柔道を始める。7年東京学館高等学校卒業後、総合格闘家を目指し、プロデビュー。12年全日本異種格闘技大会優勝。13年パンクラスネオブラッドトーナメント優勝。18年PRIDEウェルター級グランプリ優勝。24年現役引退。現在は自らの道場指導を通して、「生きる力」を伝えている。著書に『「覚悟思考」が結果を出す』(日本文芸社)。
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