理念とビジョンに基づく行動が奇跡の逆転劇を呼んだ 田村 潤(キリンビール元副社長/100年プランニング代表)

1995年、45歳の時、田村潤氏はキリンビールで全国最下位クラスだった高知支店の支店長に任命された。負け癖のついた集団をいかにして変革し、シェア首位奪回を成し遂げたのか。鍵を握るのは「理念とビジョンに基づく行動」だという。田村氏が語った奇跡の逆転劇の顛末から、企業発展の秘訣を探る。

高知の人を幸せにするために、きょう一日の仕事があるんだということを一人ひとりが肚落ちしたところから、全く違う集団になっていきました

田村 潤
キリンビール元副社長/100年プランニング代表

 企業はどうしても売り上げ・利益目標からスタートし個人の目標に下ろされます。お客さんのため、地域社会のためという理念は抽象的ですから、それだけだと社員は動けないんですよ。理念を実現するための具体的な目標をつくらないといけません。
 理念が実現されるとは具体的にどんな状態なのか、そのあるべき姿=ビジョンを決め、それを実現するための戦略や方法を全員で考え、実行していく。これを続けていくとお客さんが喜び、お客さんと社員との共感のやり取りによって業績も個人の能力も劇的に変化するんです。

プロフィール

田村 潤

たむら・じゅん――昭和25年東京都生まれ。48年成城大学経済学部卒業後、キリンビール入社。平成7年高知支店長に赴任した後、四国地区本部長、東海地区本部長を経て、19年代表取締役副社長兼営業本部長に就任。21年キリンビールの全国シェア首位奪回を実現した。23年100年プランニング設立。著書に『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社+α新書)『負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法』(PHP研究所)『人生に奇跡を起こす営業のやり方』(PHP新書/田口佳史氏との共著)。


編集後記

キリンビール元副社長の田村潤さんが語るV字回復の物語は、組織を率いるすべての人たちに勇気を与えてくれます。

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