かくして道なき道を切りひらいてきた 葛󠄀西敬之(JR東海名誉会長)

日本の国土面積の約一割ながら、日本の人口とGDPの約六割を抱える地域を結ぶ東海道新幹線は、まさに日本の大動脈輸送に他ならない。その東海道新幹線を中心に鉄道事業を展開するJR東海を、創業時より牽引してきたのが名誉会長・葛西敬之氏である。かつて経営危機に陥った国鉄の分割民営化を現場で推進し、多額の債務を背負ってスタートしたJR東海を今日へと繁栄発展させてきた。その道なき道を切りひらいてきた挑戦の歩みと、リーダーが持つべき姿勢とはいかなるものか。

自分の命を懸けてでもやるぞという覚悟があり、そこに正当性や必然性、大義があれば、天の運も呼び込んで難局を乗り越えることができるのだと感じています

葛󠄀西敬之
JR東海名誉会長

 私は法律と経済を大学で勉強しましたが、人間学というのは一生を懸けて積み重ねていく教養であると思っています。何でも手当たり次第にというと拡散してしまうため、私は政治史、外交史、戦史、伝記を中心に関心を持ってきました。それが企業経営にも大きく役立ったのではないかと感じているところです。
 経営で大切なのは人間を掌握することであり、合理性・正当性を見極めて自分自身や組織の方向を決めることなのですが、その際に法律学とか経済学といった実学はもちろん基礎としては必要であるものの、最後に鍵を握るのは大局観や長期展望です。これは鉄道だけではなく、どこの業界にいても同じような形で必要となる一つの教養であると思います。

プロフィール

葛󠄀西敬之

かさい・よしゆき―昭和15年生まれ。38年東京大学法学部卒業後、日本国有鉄道入社。44年米国ウィスコンシン大学経済学修士号取得。職員局次長などを歴任し、国鉄分割民営化を推進。62年JR東海発足と同時に取締役総合企画本部長。平成7年社長。16年会長。26年より名誉会長。著書に『飛躍への挑戦』(ワック)など。


編集後記

表紙並びに特集のトップを飾っていただくのは、JR東海名誉会長・葛西敬之さんです。本記事は、昨年10月に行われた弊社主催「ビジネスリーダーのための『古典に学ぶ経営哲学塾』」でのご講話をベースに、後日追加取材を行い、まとめました。葛西さんが経営の第一線で培ってきた決断力、大局観に圧倒される思いです。

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