逆境を受け入れて一流の道へ 君原健二(メキシコオリンピック男子マラソン銀メダリスト) 坂本博之(日本ライト級元チャンピオン)

メキシコ五輪銀メダリストの君原健二氏、元プロボクサーの坂本博之氏。ともに日本人に広く知られる一流スポーツ選手だが、栄冠を手にするまでには辛い幼少期に始まる様々な人生の山坂を超えていく歩みがあった。お二人に共通するのは逆境を受け入れて、自身の成長の糧にしてこられたことである。

ゴールまで20キロという時、あと5キロ、あと1キロと目標を小さくしながら一つひとつクリアしていくことで、苦しさを乗り越えることができます

君原健二
メキシコオリンピック男子マラソン銀メダリスト

 勉強もスポーツもこのままではあまりにも恥ずかしい。その恥ずかしさを少しでも小さくしたいという小さな欲が小さな力となって、少しずつ自分を高めてくれたように思います。
 マラソンでいえば、ゴールまで二十キロという時、あと五キロ、あと一キロと目標を小さくしながら一つひとつクリアしていくことで、その苦しさを乗り越えることができます。

物がないからお金がないからといって夢を諦める必要は全くない。行動一つで夢は追いかけられる、これは皆平等

坂本博之
日本ライト級元チャンピオン

 腕立て伏せをしたり、袋に石を詰めて鉄アレイみたいにして筋肉を鍛えたり、高校時代まではジムに行けない代わりにそんな鍛錬を重ねてきたんです。
 物がないからお金がないからといって夢を諦める必要は全くない。行動一つで夢は追いかけられる、これは皆平等。そしてそれは僕自身の実感なんですね。

プロフィール

君原健二

きみはら・けんじ――昭和16年福岡県生まれ。東京、メキシコ、ミュンヘンと五輪3大会連続でマラソン競技に出場し、メキシコでは銀メダルを獲得。平成3年新日本製鐵退社後は九州女子短期大学教授などを歴任。競技者として35回、市民ランナーとしては39回、通算74回のフルマラソンをすべて完走。今年3月には東京オリンピックの聖火ランナーとして福島を走る。

坂本博之

さかもと・ひろゆき――昭和45年福岡県生まれ。児童養護施設で育ち20歳でプロデビュー。全日本新人王・日本ライト級チャンピオン、東洋太平洋ライト級チャンピオンを獲得。平成19年に現役を引退。現在は自身が会長を務めるSRSボクシングジムで後進の育成に務めるとともに、「こころの青空基金」を設立するなど養護施設の支援を続ける。


編集後記

子供時代、勉強も運動もできなかったというメキシコ五輪銀メダリストの君原健二さん、児童養護施設で育ちプロボクサーとして日本一の栄冠を手にした坂本博之さんに対談いただきました。様々な試練を受け入れながら一流選手になった二人のお話は、人生の逆境にどう処せばいいのかという示唆に富んだ内容です。

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