3 月号ピックアップ記事 /鼎談
相田みつをがひらいた世界 牛山 泉(足利大学理事長) 武井全補(高福寺住職) 相田一人(相田みつを美術館館長)
「にんげんだもの」の作品で広く知られ、没後約30年を迎えるいまなお多くの人々の心を励まし、癒し続けている書家・詩人 相田みつを。しかしその人生、作品の根底には、40年以上師事した武井哲應老師の教えや言葉、参禅体験があったことを知る人はそう多くはないだろう。
相田作品を人生の糧にしてきた足利大学理事長の牛山 泉氏、哲應老師と相田みつをのご子息である曹洞宗高福寺住職の武井全補和尚、相田一人氏が会して語り合う、人間・相田みつをが貫いた生き方、ひらいた世界――。
自分自身に嘘をつかない、何事にも本気・本腰になって向き合うことで初めて、自らの夢や目標、意志は実現していく
牛山 泉
足利大学理事長
自分自身に嘘をつかない、何事にも本気・本腰になって向き合うことで初めて、自らの夢や目標、意志は実現していくと思います。
また、人間が周りの人と共に幸せに生きていくには、「あの人がいてよかった」と言われるようになることが、とても大事だと思うんですね。
虚飾や偽善でなく本当の自分らしさを求めていく姿勢が現代人には必要
武井全補
高福寺住職
いまの日本は役所から企業まで本当に嘘が多いと言いますか、社会全体が偽善的になっているような気がします。私は日本の将来を心から憂えますね。
相田みつをさんが求めた「本物」や「本気」、「真実」の生き方、虚飾や偽善でなく本当の自分らしさを求めていく姿勢が現代人には必要だと思います。
父には最期まで「これでいい」という作品はありませんでした
相田一人
相田みつを美術館館長
父の人生は自分の道を求め続け、葛藤の日々を送りながら、最期はやはり「なやみはつきねんだなあ/生きているんだもの」、これで終わってしまったのではないでしょうか。父には最期まで「これでいい」という作品はありませんでした。
プロフィール
牛山 泉
うしやま・いずみ――昭和17年長野県生まれ。46年上智大学大学院理工学研究科博士課程修了。48年工学博士。足利工業大学(現・足利大学)講師、助教授を経て60年より教授。平成10年同大学総合研究センター・センター長。20年より2期8年学長を務める。26年より現職。WREC国際再生エネルギー会議パイオニア賞および功労賞、日本機械学会畠山賞、文部科学大臣賞など受賞多数。
武井全補
たけい・ぜんぽ――昭和24年栃木県生まれ。47年秋田大学鉱山学部卒。同年渡欧し、北欧にて空手道を指導。53年帰国、曹洞宗大本山總持寺に掛搭。現在高福寺住職。足利大学理事。
相田一人
あいだ・かずひと――昭和30年栃木県生まれ。書家・詩人 相田みつをの長男。出版社勤務を経て、平成8年東京に相田みつを美術館を設立、館長に就任。相田みつをの作品集の編集、普及に携わる。著書に『相田みつを 肩書きのない人生』(文化出版局)などがある。
編集後記
いまなお多くの人々の心を支え、鼓舞する珠玉の作品を残した書家・相田みつを。相田みつをと縁の深い、足利大学理事長の牛山泉氏、高福寺住職の武井全補和尚、ご子息の相田一人氏が語り合う、その作品の魅力、貫いた生き方に、自分らしい幸せな人生をひらいていくヒントを学びます。
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