「教育勅語」の教えを見直す ~人としてめざすべき生き方の規範ここにあり~ 岡田幹彦(日本政策研究センター主任研究員)

生成AIなど科学技術の目覚ましい進歩と裏腹に、若者による犯罪が目に余る昨今。小中高生の自殺者数は戦後最多を記録した。私たちがめざすべき、万古不易の生き方の規範はないのだろうか。明治23年に発布された「教育勅語」こそ、人の生き方の根本を説く最高の文章であると、日本の歴史・偉人に通暁する岡田幹彦氏は語る。明治天皇が勅語に込めた深き思いと教えを繙いていただいた。

戦後教育の最大の誤りは、国家民族、日本の歴史・伝統に無縁な「個人」をつくろうとしたことでしょう。
日本人は心の奥底で、誰かと繋がること、『古事記』に説かれた「結び」を求めているように思えてなりません

岡田幹彦

戦後80年が過ぎました。

この80年を振り返ると、戦勝国アメリカから自由や人権、民主主義思想が持ち込まれ、経済復興の傍かたわら「個人の尊厳」がことさら強調された年月だったと言えます。

しかし、私たちは敗戦と共に、大切なものを置き忘れてきてしまったのではないでしょうか。

それは何と言っても、立派な人間を育てる倫理や道徳の教育、徳育です。そういう日本人が大切にしてきた精神を結晶させた最高の文章が、明治23(1890)年、明治天皇の御名により発布された「教育勅語(きょういくちょくご)」だと私は考えます。

教育勅語と私の出合いは、故郷北海道から上京し大学生活を送っていた昭和45年、皇學館大学の先生方が著した『教育勅語を仰ぐ』を手にしたことです。

そこには日本史に燦然と輝く明治維新から、勅語が発布される明治23年まで、我が国は近代化を焦るあまり、意外にも思想的に混迷を極めていたことが記されていました。戦後日本と瓜二つではないか、と驚いたものです。

そのような明治日本の行く末を誰より憂えたのは、政治家ではありませんでした。他ならぬ明治天皇です。国家の元首としてのお立場から世を見守ってきた天皇が、万難を排して勅語発布を命じたことで、日本は混乱を脱します。これが明治後期以降、人物を育み、世界に躍進する土台となるのです。その慧眼(けいがん)と深い大御心(おおみごころ)に、私は衝撃と感銘を受けました。

ところがGHQの占領下にあった昭和23年、衆参両院の決議により教育勅語は公教育から排除され、現在に至ります。

明治期、勅語が西洋に紹介されるや絶賛を受けていた事実を知る日本人は、もうほとんどいません。

発布から135年を経たいまこそ、その教えを見直したいものです。……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~(全5ページ)
◇戦後日本人が忘れてきた生き方の規範
◇知育偏重、個人尊重教育の落とし穴
◇日本人がめざすべきものを看破した明治天皇
◇世界に類例のない日本精神の精華
◇世界に恥じることなき生き方の規範
◇この歴史と伝統を離れて日本人なし

プロフィール

岡田幹彦

おかだ・みきひこ――昭和21年北海道生まれ。國學院大學中退。学生時より日本の歴史および人物について研究を続け、月刊『明日への選択』に「上杉鷹山」「勝海舟」等多くの人物伝を執筆、全国各地で歴史講座や歴史講演会を行っている。現在、日本政策研究センター主任研究員。著書に『日本の偉人物語』(現在11巻、光明思想社)など多数。


編集後記

明治天皇の深き慮(おもんぱか)りの下、日本人が古来踏み行ってきた道を示した「教育勅語」。この勅語が維新後の思想的混乱に楔(くさび)を打ち、日本の躍進を支えた歴史を、岡田幹彦さんは熱っぽく語られました。世界に称賛された日本人の〝めざすもの〟に、私たち自身で光を当てなくてはなりません。

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