4 月号ピックアップ記事 /インタビュー
心に寄り添う葬祭業を目指して 辻正司(セレモアホールディングス社長)

お客様の心に寄り添った高品質のサービスを徹底して追求し、グループ全体の売り上げは100億円超、東日本では葬儀施行件数トップを誇るセレモアホールディングス。同社をゼロから創業し、今日の発展を築いてきた辻正司社長に、艱難辛苦の歩みから得た仕事の要諦、人の生死に向き合う中で掴んだ人生のヒントをお話しいただいた。

人生は本当にあっという間で短い、愛する人との別れもある。広大な銀河系の中で針の先にも満たないこの地球で、人と人が出会う縁の不思議さ。だから、日々の出会いは、本当に貴重なものだと思うんです
辻正司
セレモアホールディングス社長
――御社は今年創業55年を迎え、家族葬・一般葬から社葬まで、東日本では葬儀施行件数トップだと伺っています。御社が選ばれる理由はどこにあるのでしょうか。
〈辻〉
葬祭業は、何か商品をつくってその使い勝手がいい、デザインがいい、という仕事とは違って、大切な人を亡くされたご遺族のお気持ちを察し、お心に寄り添っていくことが求められます。そのための社員教育、組織の風土づくりをものすごく大事にしてきました。
――具体的には、どのような取り組みをなさっているのですか。
〈辻〉
朝礼など一時的な機会に思いを伝えるだけだと、自己満足になってしまい、本当の教育にはならないと思うんですよ。とにかく習慣になるまで事あるごとに徹底して言い続ける、伝え続ける。例えば我が社では、私の思いや会社の行動指針を手書きで記したカードを常に社員全員が携帯しています。
いくつかご紹介しますと、「セレモアならではの心あたたまるサービスおもてなし どうぞご安心ください」「素早い気づきで 一歩踏み込み 正しく判断 即実行」「セレモア十訓(誠実・忠誠心・感謝・礼儀・謙虚・愛着心・使命感・責務・見識・気迫)」などがあります。
――セレモア十訓の項目は、どれも仕事に不可欠な姿勢ですね。
〈辻〉
特に人の死に向き合う葬祭業では、故人やご遺族への忠誠心、職業に対する使命感がなければ、ご遺体に触れ、お身体を浄め、旅立ちのお仕度をさせていただくことはできません。
ご遺族に最初にお会いする際、心から誠実に丁寧にご挨拶する。挨拶もきちんとできないようでは、お客様も「こんな会社に大事な人の葬儀を頼んでよいのだろうか」と思われるでしょう。本気で、誠心誠意お尽くしすることで、お客様にもその心が伝わり、「ここならば安心だ」と感じていただけます。
プロフィール
辻正司
つじ・しょうじ――昭和22年東京都生まれ。43年葬祭業「筑波祭典」(現・セレモアホールディングス)を創業。葬祭業の傍ら、作詞、詩の創作、風景写真の撮影、歌手活動など多方面で活躍。著書に『悠久の空へ』(中央公論事業出版)『人生で大切なことはみんな「寅さん」に教わった』(講談社)、詩集に『空 もう一度会えたなら』『風のように水のように』(共に講談社)『永遠の風』(PHPパブリッシング)など多数。
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