9 月号ピックアップ記事 /エッセイ
丸山敏雄と森信三 ~二人の巨人が目指したもの~ 丸山敏秋(倫理研究所理事長)
倫理運動の創設者である丸山敏雄氏(写真右)と、哲学者・森信三氏(写真左)は同時代に生まれ、広島高等師範学校時代には西晋一郎という共通の師に学んだ。生涯、一度も接点がなかったお二人だが、その思想や歩みには共通点が多い。在野の教育者として生き、日常での実践哲学を世に広めたこともその一つである。丸山敏雄氏の令孫で、森氏とも交流があった倫理研究所理事長・丸山敏秋氏に、実践によって培われたお二人の哲学を語っていただく。
『今がいちばんよいときだ』と、気づいたことを直ちに行ない、テキパキと処理することが成功の秘訣、健康の勘所です
丸山敏雄
倫理運動創設者(1892年~1951年)
足もとの紙くず一つ拾えぬ程度の人間に何ができよう
森信三
哲学者(1896年~1992年)
実践なき理論理屈は無意味どころか有害ですらある、というのが我が持論です。理論理屈を振りかざすよりも、その時の実践は苦しくても、後で自分の成長が喜べる人間でありたいものです
丸山敏秋
倫理研究所理事長
祖父と森先生が求めたもの、それは在野における実践的な人間教育でした。いわゆるアカデミックな世界とは一線を画し、一般の人たちを相手に人間の生き方やあり方をコツコツと説き続けられたのです。足がしっかりと地に着いて、精神の垂直軸を持った日本人の育成。二人が目指した教育は、そこにありました。
プロフィール
丸山敏秋
まるやま・としあき―昭和28年東京都生まれ。51年東京教育大学文学部哲学学科卒業。59年筑波大学大学院哲学思想研究科博士課程修了。文学博士。日本学術振興会奨励研究員茨城大学・筑波大学、目白大学非常勤講師など歴任。著書に『家庭のちから』『生きぬく力』(共に新世書房)『至心に生きる』(倫理研究所)など多数。
編集後記
倫理運動の創始者・丸山敏雄先生と〝国民教育の師父〟と仰がれる森信三先生は、直接の交流はないものの、同じ時代を生き、共に現代人の指針となる教えを世に広められました。倫理研究所理事長の丸山敏秋さんが語る両先生の人物像からは深い敬慕の念が伝わってきます。
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