この苦難をどう乗り越えるか 大村 智(北里大学特別栄誉教授)

いまなお世界を席巻し続ける新型コロナウイルス。世界が直面するこの苦難にいま、一筋の希望の光が差し込んでいる。 ノーベル生理学・医学賞受賞者である大村 智氏が中心になって開発したイベルメクチンの効果が、世界の臨床実験で確認されつつあるのだ。これまでも寄生虫病などに罹った数億人の命を救ってきたイベルメクチン。その開発に込めた思いを交えつつ、私たちがこの苦難に向き合う上での心構えについてお話しいただいた。[写真は大村 智氏直筆の色紙「足るを知る者は富む」(老子の言葉)]

苦難という経験は大切にすべきですね。苦難は人間を謙虚にする。謙虚になるところからすべては始まると思います

大村 智
北里大学特別栄誉教授

 北里研究所の監事だった私は、研究所が赤字で倒産してもおかしくない状態であることに気づきました。研究所の経営再建と老朽化した附属病院の建て直しを理事会に提案したところ、「そんなにいろいろなことを言うなら副所長をやってみろ」と。理事たちは私が何もできないと踏んでいたのでしょうが、私は本当に教授職を辞して、研究所の副所長になったんです。
 3年間は本当に苦労しましたよ。しかし、もしあの時私が研究所を潰していたら、北里先生がお札に登場されることはなかったでしょう。いま思い返しても、この苦難があったからこそ私は人間的に少しは成長できたのだと思います。

プロフィール

大村智

おおむら・さとし――昭和10年山梨県生まれ。33年山梨大学学芸学部卒業。38年東京理科大学大学院理学研究科修士課程修了。40年北里研究所入所。米国ウエスレーヤン大学客員教授を経て、50年北里大学薬学部教授。北里研究所監事、同副所長等を経て、平成2年北里研究所理事・所長。19年北里大学名誉教授。20年北里研究所と北里学園との統合により北里研究所名誉理事長(現在は北里大学特別栄誉教授)。27年ノーベル生理学・医学賞受賞。著書に『人をつくる言葉』『人間の旬』(共に毎日新聞出版)『自然が答えを持っている』(潮出版社)『ストックホルムへの廻り道 私の履歴書』(日本経済新聞出版社)など。


編集後記

ノーベル生理学・医学賞受賞者の大村 智さんが開発したイベルメクチンが新型コロナウイルスの治療薬として注目を集めています。大村さんは人類が直面するこの苦難にどう向き合い、イベルメクチンにどのような期待をかけているのでしょうか。お話からは、人類の幸せを願って日々の研究に勤しむ大村さんの生き方が伝わってきます。

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