大病を乗り越えて見えてきたもの たむらあやこ(漫画家)

年間10万人に1人か2人が発症するという国指定の難病、ギラン・バレー症候群。その難病に22歳で罹患し、「一生寝たきり」と診断されながらも奇跡の回復を見せた、漫画家たむらあやこさん。想像を絶する痛みを乗り越えた先に掴んだものを、その半生とともにお話しいただいた。

誰かの役に立てることの感動とともに、絵には大きな力があることを初めて教えられたんです

たむらあやこ
漫画家

 ある朝、看護師さんが私の身体を拭きに来て、いつものように身体を起こすために脇に手を入れた、その瞬間でした。皮が裂けたところを、焼酎のついた手でグウッと触られるような痛みに襲われたんです。
 それからですね、体験したことのない痛みに襲われ続けたのは。例えば、骨から身が裂けていくような痛みや、爪がミリミリと剥がれていくような感じとか、刺さりながら身体全体が捻られるような痛みが24時間、間断なく続くんですよ。尋常じゃない痛みの連続で、もう本当に狂いたかったですけど、発症後しばらくはじっと耐えていました。
 でも、それも3か月が限界でしたね。治療法もなく、いつこの痛みが引くのかも分からない。精神的に耐えられなくなって、それからは痛みに任せて声を上げて騒いでいました。おそらく、身体が麻痺していなかったら、自殺していたと思うんですよ。
 6年目に入ってようやく食べられるようになって、何時間か眠れるようになったんですよ。そうなると、それまでずっと「痛い」「辛い」しか考えることができなかったのが、普通でいられることのありがたさを実感するようになりましたね。

プロフィール

たむらあやこ

たむら・あやこ―昭和55年北海道生まれ。22歳でギラン・バレー症候群に罹患。1年9か月に及ぶ入院生活を経て、自宅療養を続ける。平成26年講談社の漫画雑誌『モーニング』が主催するコンテストで、自身の闘病生活を綴った作品が「編集部賞」を受賞。翌年から「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」を連載。28年に単行本化。


編集後記

難病を乗り越えた漫画家のたむらあやこさん。辛い体験を明るく表現し、人々を勇気づける姿に感涙を禁じ得ません。

2018年8月1日 発行/ 9 月号

特集 内発力

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