9 月号ピックアップ記事 /対談
内発力をいかに引き出すか 村井温(ALSOK会長兼CEO) 井上康生(全日本柔道男子代表監督)
日本を代表する民間警備会社であるALSOKの代表として日本の安全を守るとともに、スポーツ選手を起用したユニークなCMなどで社業を発展させてきた村井温氏。ロンドンオリンピックで男子柔道金メダルゼロに終わった日本柔道を再建し、リオオリンピック全7階級メダル獲得という史上初の快挙を成し遂げた全日本柔道男子代表監督の井上康生氏。それぞれの分野で目覚ましい結果を残してきた両氏に、人生の歩みとともに、内発力を高め、強い人材、組織をつくる要諦について縦横に語り合っていただいた。
本気でこれをやってやろうという内発力がない人には人生を発展させていくことはできません
村井温
ALSOK会長兼CEO
ベンチャー企業では、新しいアイデアをどんどん出して部下を引っ張っていける指導者が必要でしょうが、当社では企業理念などに基づいた、正確かつ着実な仕事ができる指導者が求められます。結局、それぞれの持ち味をうまく活かしていけることが、社員や組織の内発力を高める指導者の条件なのだと私は感じています。
人間、いくら頭がよくても、また、いい学校を出ていても、本当の成功にはあまり関係ありません。やはり最後は本気でこれをやってやろうという強い意欲、内発力がない人には、人生を発展させていくことはできないと思っています。
自分自身の力で道を切り開いていける内発力がなければ頂点に立つことはできません
井上康生
全日本柔道男子代表監督
スポーツの指導者においても、求められる細かな要素はいろいろあるのですが、私はいかに指導者、自分自身が信念を曲げないかが大切だと思ってきました。
スポーツはいわば結果がすべてであり、常にオリンピックや世界選手権など明確な目標が定められている世界です。そういう世界では、やはり自分自身が意識を高く持って、自分自身の力で道を切り開いていける内発力がなければ頂点に立つことはできません。外発的な力だけではどうしても限界があります。
プロフィール
村井温
むらい・あつし―昭和18年大阪府生まれ。41年東京大学卒業後、警察庁入庁。富山県、熊本県、福岡県警察本部長、中部管区警察局長などを歴任し、平成8年退官。預金保険機構理事を経て10年ALSOK副社長、13年社長などを経て24年より現職。
井上康生
いのうえ・こうせい―昭和53年宮崎県生まれ。平成9年東海大学入学。11年バーミンガム世界選手権大会100キロ級優勝を皮切りに、12年シドニーオリンピック柔道100キロ級金メダル、13年全日本選手権大会100キロ級で優勝し、3冠王者に輝く。同年東海大学卒業。東海大学大学院体育学研究学科体育学専攻修士課程修了後、ALSOK入社。20年現役引退。東海大学柔道部副監督などを経て、24年11月より全日本柔道男子代表監督に就任。リオオリンピックで史上初の全7階級メダル獲得を達成。
編集後記
表紙を飾る対談にご登場いただいたのは、ALSOK会長兼CEOの村井温さんと全日本柔道男子代表監督の井上康生さんです。人材や組織の内発力を高める要諦からリーダーの条件、東京オリンピックに向けた抱負まで縦横に語り合っていただき、非常に学びの多い充実した対談となりました。
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