11 月号ピックアップ記事 /第一線で活躍する女性
常に笑顔で一所懸命に「顔晴る(がんばる)」 三宅由佳莉(海上自衛隊東京音楽隊三等海曹)
「頑張りながらもほどよく力を抜いて、笑顔で一所懸命、それを顔晴る(がんばる)と表現しています」
――三宅由佳莉(海上自衛隊東京音楽隊三等海曹)
(記者)三宅さんは全国二十五万人の自衛官の中で初の歌手で、その美しい歌声から〝自衛隊の歌姫〟と呼ばれていますね。
三宅 恐縮です。私は小さい頃から歌がとにかく大好きだったので、自衛隊の一員として歌うことができて、感謝ばかりです。
(記者)なぜ自衛官になろうと思われたのですか?
三宅 もともとミュージカル俳優に憧れて、高校卒業後は地元岡山から単身で上京し、日本大学芸術学部音楽学科に進みました。卒業後も歌を続けたいと思いつつも、両親に負担を掛けたくなかったため、別の仕事をしながら歌を続ける道を選ぼうと、百貨店から内定をいただいていました。
ところが、大学四年生の夏に、歌の先生から「自衛隊が初めて歌手を募集している」と教えてもらったんです。初めは「ミュージカル俳優を目指しているのになぜ自衛隊?」とく興味が湧かなかったものの、説明会に参加するとコロッと考えが変わりました。隊員の士気高揚や儀式・式典における演奏、広報を任務として、国内外の各地を回って活動していることにとても魅力を感じたことに加えて、練習を見学した時、このバンドに歌を乗せたらどんな音楽が奏でられるのかと、とてもワクワクしたんです。〝初めての採用で、一人だけ〟という点にもかれて、すぐに採用試験を受けることを決めていました。
(記者)実際の活動をご覧になり、考えが変わったのですね。
三宅 もちろん前例がないので不安もありましたが、その時はチャレンジしたい気持ちが勝っていました。初めての募集だったため受験者が三人くらいしかいなくて、幸いにも、私が採用されたんです。これで大好きな歌が続けられる! とやる気満々で入隊したのも束の間、すぐに「すごいところに来てしまった」と後悔しました(笑)。
(記者)と言いますと?
三宅 入隊後は、所属に拘らず、共同生活の中で五か月間にわたって教育訓練を受けるんですけど、歌手として採用された私も、他の女性隊員六十名に交ざって、敬礼などの基本動作を身につけるとともに、前進や筋トレなどの体力トレーニングを受けました。私は海上自衛隊だったため、カッターボートを漕いだり、泳ぎの特訓もありました。学生時代に空手をしていたので、体力には自信があったんですけど、それまで自由気ままな大学生活を送っていたので、精神的に辛かったですね……
プロフィール
三宅由佳莉
みやけ・ゆかり―昭和61年岡山県生まれ。日本大学芸術学部音楽学科声楽コース卒業後、平成21年海上自衛隊に入隊。25年に発売されたアルバム『祈り~未来への歌声』が第55回日本レコード大賞企画賞、第28回日本ゴールドディスク大賞 クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー、第6回 CDショップ大賞クラシック賞の3賞を受賞。その他『希望~Songs for Tomorrow』などアルバム多数。
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