ビジョンを持って歩め 木村皓一(ミキハウス社長)

ミキハウスはベビー・子供服の高級ブランドとして、日本はもとより、広く海外にもその名を轟かせている。同社を26歳という若さで創業した木村皓一氏を突き動かしたものは何か。その原点となった幼き日の体験、そして苦闘の20代を振り返っていただいた。

 1人で始めたこの事業を、ここまで導くことができた原点を語る上で、3歳の時に右脚に患った小児麻痺のことを語らないわけにはいきません。私は辛いリハビリを嫌がり、不自由な脚を理由に面倒なことから逃げ回ってばかりいました。
 そんな自分を変えるきっかけを得たのは、小学校高学年になり、異性を意識するようになってからでした。その時から私は、少しでも脚をよくしたいと考え、病院の先生の話に熱心に耳を傾け、辛いリハビリにも前向きに取り組むようになりました。中学校に進学した私は、さらに脚を鍛えるために新聞配達のアルバイトに挑戦。雨の日も雪の日も一人で販売所へ通い続けましたが、それまでほとんど歩いたこともなく、体力に乏しかった私にとってはとてつもなく過酷な作業でした。
 その甲斐あって、辛うじて体を支えるのが精いっぱいだった右脚に、みるみる力がついてくるのが実感できました。中学3年になる頃には健常な人と比べても遜色なく歩けるようになったのです。
 人間、やればできる─不自由な右脚を克服して掴んだ自信は、その後の人生を支えるかけがえのない力となったのです。

この体験を踏まえて、20代を生きる若い方々に訴えたいのは、ぜひともビジョンを持って歩んでほしいということです

木村皓一
ミキハウス社長

プロフィール

木村皓一

きむら・こういち―昭和20年滋賀県生まれ。関西大学経済学部を中退し、野村證券を経て、父親が経営する浪速ドレスに入社。46年子供服製造卸会社・三起産業を創業。53年三起商行を設立。61年ミキハウスを設立。平成10年ミキハウス&小学館プロダクションを設立。12年ミキハウス子育て総研を設立。オリンピック選手を育成するスポーツ支援にも力を注いでいる。著書に『惚れて通えば千里も一里』(三起商行)。


2018年10月1日 発行/ 11 月号

特集 自己を丹誠する

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