6 月号ピックアップ記事 /意見・判断
日本の米を守れ! 鈴木宣弘 (東京大学大学院特任教授)

終わりの見えない米不足、米価格の高騰。なぜ日本人の主食であるはずの米が手に入らないという異常事態が生じているのか。農業政策のエキスパートである鈴木宣弘さんにその根本原因を紐解いていただきました。神話の時代から「豊葦原の瑞穂の国」と称された日本の米づくりを再び取り戻せるかどうかは、私たち一人ひとりの意識と行動にかかっていることを教えられます。

一人ひとりがいま一度、米を守ること、農業を守ることは即ち自分たちの命、子供たちの命を守ることに繋がる。
そのことを改めて認識し、行動を変えていくことこそが米不足、農業の危機を克服し、豊かな日本を実現していく最大の処方箋なのです
鈴木宣弘
東京大学大学院特任教授
米不足、米価格の高騰が止まりません。
今年2月以降、政府は数度に分けて備蓄米の放出を行ってきましたが、市場の不足感はいまだ極めて大きく、価格もほとんど下がっていないのが現状です。
政府はこれまで「投機目的による買い占めなど流通に問題が生じているだけで、米の供給は足りている」と〝流通悪玉論〟を繰り返してきましたが、調査した結果、隠された米は見つからなかったと発表しました。
現在、2024年産米を前倒しで流通させる「先食い状態」が強まっており、さらに2025年産米に関しても、作づけが前年の1・8%しか増えていないことに加えて、作づけの前から契約する動きまで広がっています。
このままでは、今夏にかけて不足感がより一層高まることが予想されますし、まだまだ米価の高騰は続くでしょう。
……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇終わらない米不足、米価高騰
◇問題根本にあるもの
◇管理・抑制ではなく需要と供給を高める政策を
◇食問題は安全保障問題である
◇食の安心安全は一人ひとりの意識が守る
プロフィール
鈴木宣弘
すずき・のぶひろ――昭和33年三重県生まれ。57年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学大学院教授を経て、平成18年東京大学大学院農学生命科学研究科教授。令和6年から、特任教授。FTA産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、コーネル大学客員教授などを歴任。著書に『食の戦争』(文春新書)『農業消滅』(平凡社)『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社)など。
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