11 月号ピックアップ記事 /二十代をどう生きるか
二十代で築いた努力の貯金が人生の糧になる 和田裕美(ビジネスコンサルタント)
ビジネスコンサルタントとして活躍する和田裕美さんは、23歳の時に完全歩合制の営業職に飛び込み、スキルばかりでなく人格的な素地を養ったという。創意工夫を重ねながら人の3倍働き、世界第2位の販売実績を挙げた和田さんに、20代を過ごす上での心構えを伺った。
20代の努力の貯金は非常に大きい。若い時は誘惑も多いけれど、小さな努力の積み重ねが後々人格の差になって表れてきます
和田裕美
ビジネスコンサルタント
「英語教育の営業で世界第2位の販売実績を樹立」「成約率98% 奇跡の営業スキル」などといまでも紹介していただくことがありますが、私が営業の仕事、しかも完全歩合制という厳しい世界に転職をしたのは、「もっとお金を稼ぎたい」という単純な理由だけでした。
京都から上京してアパレルの仕事に就いたものの、高い家賃と食費などに毎月の給料は消えていく。内勤の仕事で名刺すら持たせてもらえなかった仕事に愛着はなく、求人広告でたまたま目にした「週給8万9千円」に目を奪われ、日本ブリタニカの会社説明会に足を運んだのがすべての始まりでした。
ブリタニカは百科事典で有名なイギリスの企業で、日本支社が運営する英会話教室の営業職として採用されました。完全歩合制のため、社会保険も自分で入り、交通費も営業で必要な資料もすべて自腹で払う。そんなシビアな世界でしたが、会社説明会で聞いた話が私の背中を押してくれたのです。
「チャンスは平等、結果は不公平」
いまこの説明会に参加している人たちは皆、日本ブリタニカへ入社できるというチャンスを手にしたけれど、入社してから結果を出せるかどうかは自分の努力次第。自然界に住む動物たちは、日々飢え死にするかもしれない危機に晒されているから必死になって獲物を狩っているものの、毎日餌を与えられながら育てられた場合、たとえ猛獣だとしても、牙も運動能力も失っていく。それは人間も同じで、毎月の給料は自力で稼がなければいけないという環境に身を置くことで、初めてハングリー精神が掻き立てられ、自分自身を成長させていくことができるのだというのです。
その説明を聞いて感電した私は、もっと自立して生きていく強さをここでなら身につけられると思い、勇気を出して完全歩合制の世界に飛び込んだのでした。
プロフィール
和田裕美
わだ・ひろみ――平成3年日本ブリタニカ入社。プレゼンしたお客様の98%から契約をもらい、営業で世界142支社中2位の個人記録を達成。その実績が買われ20代にして、女性初かつ最年少で、2万人に1人しかたどり着けないといわれる支社長となる。13年同社日本撤退後は独立し、ビジネスコンサルタントとして、国内外で研修や講演を展開。著書に『YESの9割はフロントトークで決まる!』(日本経済新聞出版社)など多数。
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