成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない佐藤等（ドラッカー学会理事）

世界中のビジネスマンが日々の指針にするピーター・F・ドラッカーの著書。その言葉や教えはいまなお力強い説得力を持ち、私たちの仕事や人生の指針となっています。
今月号は「成果をあげる人とあげない人の差」に迫ります。

「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である」

ピーター・ドラッカー
（1909年～2005年）

　世のなかには成果をあげる人とあげない人がいる。しかも頭の良いといわれる人が必ずしも成果をあげているわけでもないことに若きドラッカーは気づきました。その差はどうして生まれるのか。何十年も人を観察し探求しました。
　1960年頃、ドラッカーは旧い友人に頼まれてエグゼクティブの働き方についての講演をする機会を得ます。自分では当たり前の話をすることになり、面白くもないだろうと思いながら話をしたところ大反響。ドラッカー自身がすでに身につけていたいくつかの姿勢と決まった方法を伝えただけでしたが、皆が「こんな話は初めて聞いた」というのです。
　こうして一つの著作『経営者の条件』（1966）が生まれます。原タイトルは『The Effective Executive』。簡単に言えば、「できる人」という意味です。
　この著作には、組織に属する一人ひとりがいかに成果をあげていくかが書かれています。組織は人類が社会のために生み出した道具ですからすべての組織人は、その道具を上手に使って成果を出すことが求められています。

プロフィール

佐藤等

さとう・ひとし―昭和３６年北海道生まれ。５９年小樽商科大学商学部商業学科卒業。平成２年公認会計士試験合格。公認会計士事務所開設。１４年同大学大学院商学研究科修士課程修了。ドラッカー学会理事。編著に『実践するドラッカー』シリーズ（ダイヤモンド社）がある。