親鸞と良寛に学ぶ 青木新門(作家) 中野東禅(曹洞宗僧侶)

自身も様々な苦悩や悲しみを抱きつつ、人々の悲しみと静かに向き合っていった仏教者たち。親鸞(しんらん)と良寛(りょうかん)はまさにその典型だろう。共に幼少期から悲しみを味わい、それを乗り越えてきた作家の青木新門氏と曹洞宗僧侶の中野東禅氏に、それぞれの人生体験を交えながら、親鸞、良寛の歩みや人間的魅力などを語り合っていただいた。

生老病死をどう受け止め、乗り越えていくかは人間としての原点です

青木新門
作家

 どんなに経済が発展し生活が豊かになっても、生きる苦しみは皆持っている。病院の待合室はどこも人でいっぱいですし、いくら立派な老人ホームを整備しようが老いの悲しみは残ります。死の恐れに至っては、あえて言うまでもありません。つまり、人間は2,500年前と一つも変わっていないということなんです。
 生老病死をどう受け止め、乗り越えていくかは人間としての原点です。子規のように死ぬ直前に気づいても遅い。そういう意味で私たちが親鸞、良寛に学ぶことの意義はとても大きいと思います。

悲しみにどんと腹を据え、悲しみと一体になるからこそ、人生を意味あるものにできるのではないでしょうか

中野東禅
曹洞宗僧侶

 愚痴を言わないだけで人間は皆、誰でもいろいろな悲しみを背負いながら生きている存在なんですね。「君看よ双眼の色、語らざれば愁なきに似たり」という言葉は、愚痴を言ったり人を責めたりしないで、自分が背負ったもの、心に秘めたものを静かに熟成させながら老いや死を楽しんでいく。そんな生き方を教えているように思います。

プロフィール

青木新門

あおき・しんもん――昭和12年富山県生まれ。早稲田大学中退後、富山市で飲食店を経営する傍ら文学を志す。48年冠婚葬祭会社(現オークス)に入社。専務取締役などを歴任。平成5年葬式の現場の体験を『納棺夫日記』(文春文庫)として著しベストセラーに。また20年に『納棺夫日記』が原典となった映画『おくりびと』が第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。親鸞関係の著書に『親鸞探訪』(東本願寺出版)など。

中野東禅

なかの・とうぜん――昭和14年静岡県生まれ。駒澤大学大学院修士課程修了。曹洞宗教化研修所修了。同所講師、大正大学講師、武蔵野大学講師、南無の会副総務、京都市竜宝寺住職などを歴任。現在可睡斎僧堂西堂。著書に『良寛 日本人のこころの言葉』(創元社)『「どん底目線」で生きる 良寛詩歌集』(NHK出版)『心が大きくなる坐禅のすすめ』(三笠書房)など多数。


編集後記

親鸞と良寛は、共に人々の悲しみや苦しみを一身に引き受け、その幸せのために生きた大悲の人だったといいます。作家の青木新門さん、曹洞宗僧侶の中野東禅さんは若い頃からそういう聖人の生き方に魅了されてきました。激動の戦中戦後を生き抜き、試練を乗り越えてきたお二人の人生を辿る中で、その理由が明らかになっていきます。

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