諦めなければ必ずチャンスは訪れる 天野 篤(順天堂大学医学部附属順天堂医院 院長)

天皇陛下(現・上皇陛下)の執刀医として一躍脚光を浴びた天野篤氏。心臓血管外科医として輝かしいキャリアを重ねてきたものの、その20代は意外にも、大きな挫折からスタートしたという。天野氏はいかにして人生を転換させたのか。日本を代表する一流外科医の若き日を振り返っていただいた。

失敗のない人生など、まずありません。思うに任せない人生の中で夢を叶えるには、コツコツ努力するしかない。自分の得意分野を見極め、鑿(のみ)とハンマーで分厚い岩盤を穿(うが)っていくように、コツコツと道を切り開いていくしかないというのが、躓きから20代をスタートした私の実感です

天野 篤
順天堂大学医学部附属順天堂医院 院長

 私の20代の入り口は、最悪でした。

 友人たちが希望に目を輝かせて成人式に臨んでいる陰で、前年の大学受験で失敗していた私は、大切な人生の節目を予備校で迎えなくてはなりませんでした。惨めな浪人生活は1年では終わりませんでした。結局3度も挫折を繰り返した末に、何とか医学部への切符を手に入れることができたのです。

 苦労というのは、その後の人生がよくならなければ他人に語ることはできません。私がもし、その最悪の状況を転換させることができていなければ、多くの読者を持つこの『致知』で当時を振り返ることなどできなかったでしょう。

 幸いにして私はその後、心臓血管外科医として国内でも最多に近い手術件数を経験し、天皇陛下(現・上皇陛下)の執刀を務めるまでになりました。最悪の形でスタートした20代をどのように過ごし、医師としての礎を築いていったのか、自分なりに振り返ってみたいと思います……

プロフィール

天野 篤

あまの・あつし――昭和30年埼玉県生まれ。日本大学医学部卒業。関東逓信病院(現・NTT東日本関東病院)で研修後、亀田総合病院、新東京病院などの民間病院で20年近く勤務。平成13年昭和大学横浜市北部病院循環器センター長・教授。14年順天堂大学医学部教授。28年順天堂大学医学部附属順天堂医院院長。著書に『これからを生きる君へ』(毎日新聞出版)などがある。


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