8 月号ピックアップ記事 /対談
人生を幸せに生きる知恵 鮫島純子(エッセイスト) 鈴木秀子(文学博士)
渋沢栄一の令孫でエッセイストの鮫島純子さんは現在97歳。幼い頃の新渡戸稲造との偶然の出会いで人生の真理に目覚め、霊覚者・五井昌久との邂逅によって揺らぐことのない信念を得て人生を歩んできた。道を求め安心立命ともいえる境地に至った鮫島さんはいま何を思い、何を後世に伝えたいと考えているのか。長年の親交がある文学博士の鈴木秀子さんとともに語り合っていただいた。
自分にご縁のないものは出てきませんし、よくなるために、いま悪い出来事が起きて消えているところだ、「ありがとうございます」と感謝して受け止めれば悪い運命は必ず消えていくのだと思えば、落ち込まなくて済みます
鮫島純子
エッセイスト
悪い出来事も自分を清めるため、心を高めるために起きている、感謝して受け入れることで新しい道がひらかれていく。
落ち込んで誰かのせいにしていたら、なお自分を汚すことになると思うと、私はそのほうが恐ろしいので、「魂の歴史の中で、自分に縁のないものは出てこないんだ」という人生の方程式をしっかりと心に刻み込んで生きてまいりました。そのおかげで、とても楽に生きることができています。
苦しみを人や環境のせいにするのではなく、いま自分がこの場で何をすればよいかを冷静に考える心の習慣を身につけることは、とても大切なことだと思うんです
鈴木秀子
文学博士
私たちの日常生活の中で「こんなことが起きて」とか「神も仏もあるものか」と思うような体験があったとしても、何年か経って振り返った時に「ああ、あの経験があったからこそ、自分のいまがある」と感謝して受け止められる日が必ず来ると私は確信しています。
本当に辛くて苦しい最中に、「いま表に現れる現象は苦しみだけれども、その底には何らかの恵みがあり、これは神の愛が現れるための出来事だ」と考えるのは難しいことです。しかし、たとえそう実感できないとしても、苦しみを人や環境のせいにするのではなく、いま自分がこの場で何をすればよいかを冷静に考える心の習慣を身につけることは、とても大切なことだと思うんです。
プロフィール
鮫島純子
さめじま・すみこ――大正11年東京生まれ。昭和17年結婚。祖父は渋沢栄一、父は栄一の四男で実業家の渋沢正雄。著書に『なにがあっても、ありがとう』(あさ出版)『毎日が、いきいき、すこやか』(小学館)『祖父・渋沢栄一に学んだこと』(文藝春秋)など。
鈴木秀子
すずき・ひでこ――東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本で初めてエニアグラムを紹介したことで知られる。国際コミュニオン学会名誉会長。著書に『幸せになるキーワード』(致知出版社)『9つの性格』(PHP研究所)など。最新刊に本連載の感動的な話をまとめた『自分の花を精いっぱい咲かせる生き方』(致知出版社)。
編集後記
渋沢栄一の令孫であり、97歳のいまもエッセイストとして活躍する鮫島純子さんと、文学博士の鈴木秀子さんにご対談いただきました。信仰者として長年人間の心を見つめ、真実の生き方を探究する中で悟道とも言える境地に達せられた二人のお話は、幸せの本質を説き来たり説き去って魂に染みるものがあります。
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