我が〝こころの師〟 平澤 興 村上和雄(筑波大学名誉教授)

科学者としてのみならず、教育者としても偉大な足跡を残した京都大学元総長・平澤興氏。その薫陶を受け、〝こころの師〟 と仰ぎ見てこられたのが村上和雄氏だ。平澤氏が折々に遺された言葉を振り返っていただきつつ、いまも村上氏のこころに深く宿る師の教えについて語っていただいた。

人間いかに生きるべきかという深い真理を、誰にでも分かる言葉で話される。私はそこに平澤先生の凄味を感じるのです

村上和雄
筑波大学名誉教授

 平澤先生はその著書『人間 その無限の可能性』の中で、人間的生命は3つに分けられるとしています。1つ目は植物的生命。これは植物的な作用を行う生命のことで、生きるために直接必要な呼吸や消化、循環、成長などを司るため、自律的生命と言い換えることもできます。
 2つ目の動物的生命は本能的に動くことを意味し、食べ物を探したり、敵に向かっていったり、逃げたりする運動を司ります。そして3つ目が2つの生命の上に位置し、人間的生命を特徴づけるもので、精神的生命といいます。この精神は魂を伴い、老いを知らず、ずっと成長し続けるものだと平澤先生は著しました。
 思うに人の一生はこころの成長のためにあると言ってもよく、そのためには年齢にかかわらず、常にこころの門戸を大きく開けておくことが大切です。その点、平澤先生は精神的生命、すなわちこころと魂の成長を終生求め続けていた方でした。それは「情熱とは、年齢ではなく、燃えるこころの力である」という言葉にも象徴されています。私も82歳になったいま、晩年に先生が語られた言葉が、より真実味を帯びて蘇ってくるのです。(写真:平澤 興氏〔1900~1989年〕)

プロフィール

村上和雄

むらかみ・かずお——昭和11年奈良県生まれ。38年京都大学大学院博士課程修了。53年筑波大学教授。平成8年日本学士院賞受賞。11年より現職。23年瑞宝中綬章受章。著書に『スイッチ・オンの生き方』『人を幸せにする魂と遺伝子の法則』『君のやる気スイッチをONにする遺伝子の話』(いずれも致知出版社)など多数。


2018年7月1日 発行/ 8 月号

特集 変革する

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