いかに変革を続けるか 牛尾治朗(ウシオ電機会長) 金丸恭文(フューチャー会長兼社長)

牛尾治朗氏は若い逸材を見抜く名手である。その牛尾氏がかねて目をかけてきた人に、金丸恭文氏がいる。若くして日本初のITコンサルティング会社を立ち上げた金丸氏は、現在は国の変革にもその力を遺憾なく発揮し、まさに時代をリードしてきた変革者。その金丸氏が師と仰いできた牛尾氏もまた、50年経営の一線に立ち続けている変革の経営者である。ともに未開の地平を切り開いてきた二人が、ここに会して語る変革の道──。

人生というのはなかなか自分の思いどおりにはいかないものです。けれども、不本意な中でもベストを尽くしていると、その中で僅かずつでも自分のやりたいことが見えてくる

牛尾治朗
ウシオ電機会長

 私はもともと経営者になるつもりはなかったけれども、父親が亡くなって、残された赤字会社を立て直さなければならなくなったんです。それまで在籍していた東京銀行では、どこへ行っても会ってくれましたが、ウシオ電機の名刺を持って行っても誰も会ってはくれない。だから、いまに見ておれという気持ちはすごく強かったですね。
 当初は全部個人保証だったし、設備投資もどんどんやったから、15~16億円の借金を一身に背負ってやっていました。上場して3年で無借金経営になった時にようやく重圧から解放されましたよ。
 選択の余地もなく経営の道に入ったわけですが、そのおかげで迷うという無駄なことをせずに済んだのは、逆によかったかもしれません。人生というのはそんなふうに、なかなか自分の思いどおりにはいかないものです。けれども、不本意な中でもベストを尽くしていると、その中で僅かずつでも自分のやりたいことが見えてくるというのがいまの実感ですね。

大きな変革を起こすためには、こんなことができたら面白そうだとか、びっくりするんじゃないかとか、そういう夢みたいなことに挑戦することが大切です

金丸恭文
フューチャー会長兼社長

 変革を実現していく上で大切な研究開発についても新しい発想で臨む必要があります。従来のように確実なリターンを追求する研究開発とは別に、こんなことができたら面白そうだとか、びっくりするんじゃないかとか、そういう夢みたいなことに挑戦する研究開発というのもあっていいと思います。
 大きな変革を起こすためには、むしろそっちのほうを大切にしなければいけないと私は考えるんです。実際に過去を振り返ってみても、パソコンの画面に小さな検索窓をつくったグーグルや、もともとはインターネット本屋だったアマゾンが、エクソンモービルやウォルマートを時価総額で抜いてしまう時代ですから。あんな単純なことを貫くことで、あんな大きなことができるわけですよ。
 変革に成功することは確かに難しいと思うんですが、現状維持はもっと難しいでしょうね。現状維持は最も贅沢な願望だと私は思うんです。

プロフィール

牛尾治朗

うしお・じろう――昭和6年兵庫県生まれ。28年東京大学法学部卒業、東京銀行入行。31年カリフォルニア大学政治学大学院留学。39年ウシオ電機設立、社長に就任。54年会長。平成7年経済同友会代表幹事。12年DDI(現・KDDI)会長。13年内閣府経済財政諮問会議議員。著書に『わが人生に刻む30の言葉』『わが経営に刻む言葉』『人生と経営のヒント』(いずれも致知出版社)がある。

金丸恭文

かねまる・やすふみ――昭和29年大阪府生まれ。53年神戸大学工学部卒業。TKCに入社。60年NTTPCコミュニケーションズ取締役。63年インフォネクス常勤取締役。平成元年フューチャーシステムコンサルティング(現・フューチャー)設立、社長に就任。現在は同社会長兼社長グループCEOの他、経済同友会副代表幹事、内閣府規制改革推進会議議長代理なども務める。


編集後記

特集の締め括りには、弊誌でもお馴染みウシオ電機会長の牛尾治朗さんと、フューチャー会長兼社長の金丸恭文さんにご登場いただきました。牛尾さんがその才を高く評価する金丸さんは、気鋭のITベンチャーにして、国の規制改革でも活躍中。時代の先端をいくお話はとても刺激的で、牛尾さんの含蓄ある言葉とも相俟って充実した対談となりました。

2018年7月1日 発行/ 8 月号

特集 変革する

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