松下幸之助が入社式で語ったこと 上甲晃(志ネットワーク「青年塾」代表)

 志の高い人材を育てるべく、「青年塾」という人間教育の研修の場を主宰している上甲晃氏。新卒で入社した松下電器に31年在籍し、松下政経塾の塾頭も務めた経歴の持ち主である。経営の神様と称される松下幸之助翁からどんな薫陶を受け、その教えをいかに実践してきたのか。

「一つは、いい会社に入ったと思い続けられるかどうかや」
「もう一つは、社会人になってお金が一番大事と思ったらあかんぞ。もちろんお金も大事やけどな、お金は失くしても取り戻せるんや。しかし、人生にはこれを失うと取り戻すのに大変苦労するものがある。それは信用や。信用を大事にせなあかん」——松下幸之助

上甲晃
志ネットワーク「青年塾」代表

 20代に限らず、私が人生で最も影響を受けたのは、松下幸之助に他ならない。大学で様々な専門の知識を勉強したが、本当の生き方を教えられたのは会社に入ってからであり、もっと言えば、松下幸之助と出逢ってからである。
 とりわけ心に深く刻まれているのは新人研修での訓話だ。正確な言い回しは忘れてしまったが、「君らな、僕がいまから言う二つのことを守り通したら、松下電器の重役になれる」といったような前置きをした上でこう言った。
「一つは、いい会社に入ったと思い続けられるかどうかや」
 誰でも入社したばかりの時はいい会社に入ったと思う。しかし、嫌な上司がいたり、意に沿わない仕事をさせられたり、様々な不遇に遭う。それでもなお、いい会社を選んだと心から思えるかどうかはすごく大事なことだ、と。
「もう一つは、社会人になってお金が一番大事と思ったらあかんぞ。もちろんお金も大事やけどな、お金は失くしても取り戻せるんや。しかし、人生にはこれを失うと取り戻すのに大変苦労するものがある。それは信用や。信用を大事にせなあかん」
 この二つの言葉に強烈な衝撃を受けた。同時に、私の社会人生活の基本、考え方の根っこになった。

プロフィール

上甲晃

じょうこう・あきら──昭和16年大阪市生まれ。40年京都大学卒業と同時に、松下電器産業(現・パナソニック)入社。広報、電子レンジ販売などを担当し、56年松下政経塾に出向。理事・塾頭、常務理事・副塾長を歴任。平成8年松下電器産業を退職、志ネットワーク社を設立。翌年、青年塾を創設。著書に『志のみ持参』『志を教える』『志を継ぐ』(いずれも致知出版社)など多数。


2018年7月1日 発行/ 8 月号

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