3 月号ピックアップ記事 /対談
人々に生きる喜びと感動を 吉田智誉樹(四季社長) 池田雅之(早稲田大学名誉教授)
いまから66年前、僅か10人の学生によって立ち上げられた演劇集団は、幾度もの存続の危機を乗り越え、日本を代表する人気劇団へと成長した。劇団四季の創設者・浅利慶太氏──彼はいかにしてこの大業を成し遂げたのか。現社長の吉田智誉樹氏と、浅利氏と親交の深かった池田雅之氏に、この希有なる劇団を貫く志について語り合っていただいた。
優れた舞台を通じて、お客様に人生の感動や生きる喜びをお届けする。微力ながら、私は浅利から受け継いだこの志の火を、これからも守り続けていくつもりです
吉田智誉樹
四季社長
浅利はこんなことをよく話していました。保険会社は「安心」を、電気メーカーは「便利」を売っている。では我われは何を売っているか。それは「感動」だ。我われは、市民社会に感動を与える仕事に取り組んでいるんだと。
その言葉通りに、劇団四季の上演する作品は「人間賛歌」をテーマにしているものばかりです。人生は生きるに値する。人生は素晴らしいものだということをお客様にお伝えするのが我われの仕事です。
劇団四季のミュージカルは、人々が本当に幸せに生きていけるような刺激と活力を与えてくれる「未来神話」であってほしいと僕は願っています
池田雅之
早稲田大学名誉教授
我われが生きていく中では、差別やいじめといった辛い出来事にもたくさん遭うけれども、そういう理不尽な現実を抱え込みながらいかにして皆が生き生きと生きていくのか。そういうテーマが根底に流れている『キャッツ』は、我われがこれからの21世紀を生き抜いていくための道筋を示した「未来神話」だと、僕は捉えたんです。
プロフィール
吉田智誉樹
よしだ・ちよき――昭和39年神奈川県生まれ。62年慶應義塾大学文学部卒業後、四季に入社。主に広報営業関連セクションを担当。制作部広宣・ネットグループ長、執行役員広宣部長、取締役広報宣伝担当を歴任。平成26年四季社長に就任。
池田雅之
いけだ・まさゆき――昭和21年三重県生まれ。現在、早稲田大学名誉教授。早稲田大学文学部英文科卒業。ロンドン大学大学院客員研究員。専門は比較文学、比較文化論。小泉八雲など数多くの訳書を手掛ける翻訳家でもある。長らくNPO法人「鎌倉てらこや」理事長を務め、現在、顧問。文部科学大臣奨励賞、正力松太郎賞等を授与される。著書に『猫たちの舞踏会 エリオットとミュージカル「キャッツ」』『日本の面影』(ともに角川ソフィア文庫)『イギリス人の日本観』(成文堂)など多数。訳書に『キャッツ』(ちくま文庫)『猫の童話集』(草思社文庫)など。
編集後記
ミュージカル『キャッツ』『ライオンキング』などで知られる劇団四季。僅か10人の学生によって立ち上げられたという劇団は、いかにして日本を代表する人気劇団へと成長したのか。創設者・浅利慶太氏の事跡を交えて、四季社長の吉田智誉樹さんと、四季と縁の深い英文学者・池田雅之さんに語り合っていただきました。
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