日本の国語教育はかくあれ 齋藤 孝(明治大学教授)

「国家百年の計は国語力の向上にある」と断言する齋藤孝氏。明治の日本がいち早く近代国家の仲間入りをした背景にも、高い国語力があった。ところが、現在の小学校一年生の国語教科書は子供に与えるべき十分な内容になっていないという。それを憂慮して、いま制作に取り組んでいるのが『齋藤孝の小学一年生の国語教科書』(仮)。その刊行を前に、現在の国語教育の危機的状況と国語力養成の重要性についてお話しいただいた。

国語は、他のすべての教科の基礎になるだけでなく、人生の基礎になるといってもいいでしょう

齋藤 孝
明治大学教授

 考える力は、訓練によって養われるものです。言葉を1つ覚えることは、新しい概念や視点を1つ獲得するということです。1つの言葉が、1つの新しい考え方との出合いをもたらしてくれるのです。
 その時に重要になるのが語彙力です。語彙力を高め、その上で意味と意味を繋いで文章の関係性を見抜く力=文脈力を身につけていくと、他人の思考も理解できるようになります。すると自分の考えを深めるだけではなくて、人とコミュニケーションをとって新しい考えを生み出していく、つまり協調性を持ちながら自分の考えを言葉にして新しい提案ができるようになるのです。国家百年の計を考える時、これは次の100年を支えていく人間にとって欠かせない資質になると思います。

プロフィール

齋藤 孝

さいとう・たかし――昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『楽しみながら1分で脳を鍛える速音読』『楽しみながら日本人の教養が身につく速音読』『国語の力がグングン伸びる1分間速音読ドリル』『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『日本人の闘い方』(いずれも致知出版社)などがある。


編集後記

低下する日本人の母語能力に歯止めは掛かるのでしょうか。明治大学教授の齋藤孝さんのお話を通して、国語教科書のあるべき姿が見えてきます。

2018年12月1日 発行/ 1 月号

特集 国家百年の計

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