【緊急対談】アメリカはこれでいいのか! マックス・フォン・シュラー(歴史研究家) ロバート・D・エルドリッヂ(政治学博士)

戦後の世界秩序の安定を担ってきた超大国・アメリカ。しかし、いまアメリカは国内に様々な問題を抱え、崩壊の道を辿っていると、政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ氏と歴史研究家のマックス・フォン・シュラー氏は警鐘を鳴らす。
日本在住の親日家であり、国際政治・インテリジェンスに通暁するお二人に、アメリカの驚くべき実態と日本の進むべき道について語り合っていただいた。

「自分以外のために」という志が、その国家の根本を支える一番の力になります

マックス・フォン・シュラー
歴史研究家

〈シュラー〉
 私は軍人、エルドリッヂさんは文官ですけども、お互いに元米海兵隊員で、日本に長く住んでいることなど共通点が多くありますね。

 また日米関係に対する分析にも共通するところが多く、このままではアメリカは崩壊するのではないかという点で意見が一致しています。日本では「アメリカは自由と民主主義の素晴らしい国だ」というイメージを抱いている方が多いですが、それは違う。

〈エルドリッヂ〉
 私は2009年から文官として沖縄海兵隊に勤めていましたが、基地反対運動の実態を撮影した映像を外部に提供したことで、2015年に解雇されてしまいました。映像に一緒に映っていた地元二紙の批判を怖がった上官は私を守ってくれなかった…。

 また、それ以前から海兵隊の事なかれ主義、隠蔽(いんぺい)体質に接していて、この組織に正義はなくなっていった、つまり平素において正しい決断ができなければ有事の時にできるはずがないと、疑問を感じるようになったんです。

日本が再び元気を取り戻して、アジアのリーダーとして世界に貢献していく日が訪れるのを願っています

ロバート・D・エルドリッヂ
政治学博士

〈エルドリッヂ〉
 その半年後、親戚の結婚式に出席するためにアメリカに行く機会があったのですが、そこで国民の皆がなぜかイライラしていると感じました。その理由が分かったのは、2016年の大統領選挙でした。

 ご存じのように、共和党からは既存のアメリカ政治をぶっ壊そうとするドナルド・トランプ氏が、民主党からは政治改革を訴えるバーニー・サンダース氏が現れました。要するに彼らが登場してくるほど、アメリカ政治への不満が高まっていたんです。

 そして、サンダース氏は予備選挙で対立候補のヒラリー・クリントン氏に敗れましたが、この時に大規模な選挙不正が行われた。

〈シュラー〉
 クリントン陣営の不正を暴く本が出されていますね。

〈エルドリッヂ〉
 何が行われたかというと、一つには、ヒラリー氏を勝たせるために、民主党全国委員会が党員情報や名簿等をサンダース陣営に提供しなかったこと。
 二つには、予備選に投票できる資格者を党本部が勝手に変更・決定し、ヒラリー氏に有利になるようにしたこと。
 三つには、電子投票機を不正に操作した疑いがあること。

 特に電子投票機に関しては、そのソフト開発をクリントン陣営に関係する企業が行っていることが明らかになっています。

 また2020年の民主党の予備選挙の際にも、サンダース氏と接戦だったピート・ブティジェッジ氏(現・民主党政権の運輸庁長官)が、オハイオ州での開票が始まってすぐに勝利宣言を行いました。これも調べてみると、ブティジェッジ氏陣営が投票集計ソフトをつくった会社に出資しており、この会社の創業者の配偶者が同陣営の顧問を務めていたことが分かりました。

 その選挙不正が最も顕著かつ大規模に行われたのが、まさにトランプ氏が敗北し、バイデン政権が誕生した2020年の大統領選挙に他なりません。しかし、民主党もアメリカの主要メディアも、不正はなかったこととして片づけようとしている。

 もはやアメリカの選挙制度、自由と民主主義そのものが危機に瀕しているのです。

プロフィール

マックス・フォン・シュラー

1956年アメリカ・シカゴ生まれ。1974年に岩国基地に米軍海兵隊として来日、アメリカ軍の情報局で秘密調査などに従事。退役後は、国際基督教大学、警備会社、役者、ナレーター等、日本国内で幅広く活動。著書に『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの“崩壊”』『アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史』(共にハート出版)『アメリカはクーデターによって、社会主義国家になってしまった』(青林堂)など多数。YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」で情報発信中。

ロバート・D・エルドリッヂ

1968年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。1990年にバージニア州リンチバーグ大学国際関係学部卒業後、文部省JETプログラムで来日。1999年神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。政治学博士号取得。2001年より大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授。2009年在沖縄海兵隊政務外交部次長に就任(~2015年)。著書に『オキナワ論』(新潮新書)『尖閣問題の起源 沖縄返還とアメリカの中立政策』(名古屋大学出版会)『トモダチ作戦 気仙沼大島と米軍海兵隊の奇跡の
“絆”』(集英社文庫)『中国の脅威に向けた新日米同盟』(青林堂)など多数。


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