6 月号ピックアップ記事 /私の読書立国論
読書は未知の世界の扉を開く 為末 大(Deportare Partners CEO/元陸上競技選手)

陸上男子400メートルハードルの日本記録保持者である為末大氏。現在はオピニオンリーダーとして多方面で活躍する氏の源泉には、幼少期から積み上げてきた読書体験があるという。〝走る哲学者〟との異名を取る氏の読書遍歴を辿りながら、書物を通して未来を切り拓くヒントを探る。
自分の求める何かを知るために夢中になること。
読書習慣を養う第一歩として、そういう根源的な欲求や好奇心に素直に従うことが大切なのです
為末 大
Deportare Partners CEO/元陸上競技選手
私にとって読書は、「人間とは何かを知りたい」という自分の好奇心に素直に従う行為です。私は好奇心に従っているのが一番幸せです。好奇心に従う場合、そのテーマの本を読むか、専門家に会うかのいずれかしかありません。つまり、読書は私の人生の喜びの半分を占めているということです。
現役を引退して13年が経つ現在は、週1冊以上のペースで本を読んでいます。ジャンルは脳科学から東洋古典に至るまで千差万別ですが、仕事で各界の第一人者とお会いした際には、おすすめの本を聞いて読むようにしています。
最近では、米カリフォルニア大学バークレー校の研究者である野村泰紀教授に宇宙物理の入門書を教えてもらいました。物事を理解したと思った瞬間、人間の成長は終わってしまう。何事にも興味を持って学び続けることで、世の中を平面的ではなく、立体的に捉えられるのではないでしょうか。
振り返ると、私は物心つく頃から活字を追いかけるのが好きでした。これは、……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇読書は人生の喜びの半分を占めている
◇読書で培われた言語化する力
◇注意をどこに向けるかはコントロールできる
◇逆境の最中に支えとなった書物
◇読書習慣を養う第一歩は好奇心に従うこと
プロフィール
為末 大
ためすえ・だい――昭和53年広島県生まれ。中学、高校時代より陸上競技で活躍し、平成13年エドモントン世界選手権及び17年ヘルシンキ世界選手権の男子400メートルハードルで銅メダルを獲得。シドニー、アテネ、北京とオリンピック3大会に出場。男子400メートルハードル日本記録保持者。24年に引退後はスポーツと社会、教育、研究に関する活動を幅広く行っている。著書に『熟達論』(新潮社)『諦める力』(プレジデント社)など多数。
編集後記
「走る哲学者」の異名で知られる元陸上選手の為末大さん。異名の通り、取材では弊誌の質問一つひとつに丁寧に言葉を紡ぎ出される姿が印象的でした。その語りや独自の哲学から、人生を通して読書の世界に浸りきってきた為末さんのあり方が伝わってきました。

特集
ピックアップ記事
-
提言
古典・歴史の学びこそ人格を磨く要であり読書文化の復興が人類の命運を決する
中西輝政(京都大学名誉教授)
-
対談
読書は国の未来を開く
安藤忠雄(建築家)
山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所名誉所長・教授)
-
対談
AI時代に負けない生きる力を育む子育て
内田伸子(お茶の水女子大学名誉教授)
川島隆太(東北大学加齢医学研究所教授)
-
私の読書立国論
良書で日本人としての知性、感性を磨く
中山 理(麗澤大学前学長)
-
私の読書立国論
読書は未知の世界の扉を開く
為末 大(Deportare Partners CEO/元陸上競技選手)
-
私の読書立国論
本は人生の航海を導く羅針盤
小島よしお(お笑い芸人)
-
私の読書立国論
書店文化を守れ!
大垣守弘(大垣書店会長)
-
対談
幼児期における国語教育の驚くべき力
安井俊明(安松幼稚園理事長)
小泉敏男(東京いずみ幼稚園園長)
-
対談
読書立国への道
數土文夫 (JFEホールディングス名誉顧問)
齋藤 孝(明治大学文学部教授)
好評連載
バックナンバーについて

バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます
過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。
定期購読のお申込み
『致知』は書店ではお求めになれません。
電話でのお申込み
03-3796-2111 (代表)
受付時間 : 9:00~17:30(平日)
お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード