6 月号ピックアップ記事 /私の読書立国論
良書で日本人としての知性、感性を磨く 中山 理(麗澤大学前学長)

麗澤大学前学長の中山理氏は、読書を通して日本人としての感性を磨き、自国への誇りを持つことの重要性を強調する。自身の知的座標軸となったモラロジーの教え、渡部昇一先生の薫陶を交えながら、読書への熱い思いを語っていただいた。
日本の先人は四書五経を諳んじるほどの教養があり、それゆえに西洋文化を漢文の知性を駆使して自家薬籠中のものとしました。
私は日本的な知性、感性を磨くことなくして他国の文化を吸収し、そのコアに到達することは難しいとさえ考えます
中山 理
麗澤大学前学長
私の読書人生を語る上で、決して忘れてはならない人がいます。上智大学名誉教授の故渡部昇一先生です。
渡部先生とのご縁は大学院時代に遡ります。先生は私の修士論文の審査員のお一人で、その後、上智大学非常勤講師を務めていた頃から親しくお話をするようになりました。渡部先生は英語学、私は英文学と研究分野は異なるものの、愛書家であることと、歴史観や国家観など考えを同じくする部分が多く、2017年に亡くなるまで厚誼を賜りました。
西洋だけでなく東洋にも関心があった私たちは、時に『易経』や『荘子』などについて語り合い、対談本として上梓しました。
東西の古典や思想を比較しながら、それがいかに実生活と結びついているかを探るのも楽しみでした。
先生はまた古書蒐集家としても有名でした。ご自宅には蔵書数15万冊ともいわれる書庫があり、有名なG・チョーサーの『カンタベリー物語』をはじめ、世界に3冊しかないウイリアム・ブロカーの『英文法』という世界初の英文法の本の1冊が所蔵されていることは、先生の自慢でもありました。
私もいつしか先生から刺激を受け古書蒐集を始めるようになりました。初めて……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇経を以て経を説く
◇『武士道』『茶の本』が教える日本精神
◇書物を愛してこそ志が養われる
◇日本的な感性を抜きに他国の文化は吸収できない
プロフィール
中山 理
なかやま・おさむ――昭和27年三重県生まれ。麗澤大学外国語学部卒業。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士後期課程修了。上智大学にて博士(文学)学位取得。麗澤大学外国語学部教授、学部長、学長などを歴任。現在特別教授。著書に『日本人の博愛精神』(祥伝社)『イギリス庭園の文化史』(大修館書店)など多数。渡部昇一氏との共著に『読書こそが人生をひらく』(モラロジー研究所)などがある。
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