あの著名人も致知を読んでいます

『致知』は、経済、スポーツ、学術、政治、教育など、各界を代表する著名な識者の方々からもご愛読いただいています。

伊與田覺 氏

論語普及会学監

私はかねてより「成人」という言葉には2つの意味があると言ってきました。一つは「大人」であり、もう一つは「人と成る」という意味の「成人」です。「大人」は特別に努力をしないでも、日を重ね20歳になれば、みんな大人になります。しかし、「人と成る」というのはその人の努力によって成されるということです。その「人と成る」ための学問には二面がある。一つは徳性を養う学問であり、もう一つは知能・技能を育てる学問です。前者を「人間学」といい、後者を「時務学」といいます。『致知』は28年、一貫して人の長所に光を当て、徳性を育てる「人間学」を追求して、今日に至っています。こういう雑誌は現代甚だ稀で、私自身、90歳をこえ、なお自主購読し、『致知』から多くの学びを得ています。創刊28周年を心からお慶び申し上げるとともに、道標を示す光として、今後とも益々ご発展されますことを祈念します。

米長邦雄 氏

日本将棋連盟会長

『致知』は現代人の生きた教科書といえる。日本という国にとって最も大切なことは「日本人らしい日本人」を育成することである。近頃はアメリカ流の合理主義や弱肉強食がはやったり、中華思想も台頭してきた。聖徳太子の定めらえた17条憲法の第1条「和を以って貴しと為す」をもう一度心に刻む教育が大切である。日本文化や気質は東洋思想を根底にして昇華させていったものだ。『致知』が創刊以来30年に亘って多くの人々を啓蒙してきた意義は大変大きい。これからも日本のため、人々のため、更なる発展を望みます。

坂村真民 氏

仏教詩人

わたしは最近「千年のまなざし」とか、「宇宙のまなざし」とかの詩を書き続けているが、それはこの地球を救うには、これより外にないと思うからである。陽明学では『致知』とは、本然の良知を明らかにすることを言う。でも地球の歴史は、戦争ばかりを続けてきた。そして原子爆弾まで造り出された。つまり和を好まぬ男たちが、この母なる星地球を、どん底に落としてしまったのである。でもやっと和を好む女たちの世が、21世紀から始まろうとしている。わたしは書斎に、木花開耶媛を祭っているが、この媛を富士山頂にお祭りした、大和民族の夢と、願いと、祈りが、世界に広がりゆくのを、どうか『致知』も、応援して頂き度いのである。

山下俊彦 氏

松下電器産業相談役

『致知』には教えられることが多い。毎号の特集には一つのテーマを中心に、色んな視点からの対談、インタビューが行われる。重度の障害を持ちながら普通の人の及ばない明るいりっぱな人生を送っている人たちの実例を『致知』で知り、感動した。1988年の特集「死」で、箙田鶴子は生まれながらの重度脳性まひで、両手両足が動かず歩けない。化けものと言われ他人に見られては恥と、常に室に鍵をかけられていたという。それが「神への告発」等の作品を発表、自立の道を歩む。1991年の特集「時間を考える」で、中村久子は3歳の時病気で、両手両足を切断という悲惨な身体で、自ら進んでわが身を見世物小屋に売り独立する。1992年の特集「読書と人生」の座古愛子。家族が亡くなり12歳の時から働いていたが、17歳の時リウマチで首から下は全く動けなくなる。ベッドに寝たままで、女学校の校内の販売を受けもつ。座古愛子は68歳、中村久子は72歳、何れも散々苦しんだ末、世を恨まず、人を恨まず、あるがままを受け入れて、生かされたことに感謝の心でその生涯を終る。人はその気にさえなれば絶望はない。読む人すべてが勇気づけられる。多くの人の心の支えになる『致知』は創刊14周年、御活躍を祈ります。

伊藤昌哉 氏

政治評論家

私は政治という世界に深くかつ長く関わってきたが、政治の流れが変わる背景には、人間の意思を超えた天意というものが常に働いているということを実感している。私と『致知』との関わりは、既に7、8年になるが、私は常々編集長に「この雑誌は単なる雑誌ではない。人創りの雑誌、ひいては国創りの雑誌だ」ということをいってきた。貴社は激動する日本社会へ何かをメッセージする使命をもって、新発足することとなった。致知出版社の輝かしき前途を心から祈念する。

鬼塚喜八郎 氏

アシックス創業者

復員後、徒手空拳で「若者の健全な育成に大切なスポーツに必要なシューズの製造に残りの人生を捧げる」という信念だけで、スポーツシューズメーカーを創業した。企業経営の経験も知識もなく、又それを学ぶ方法も限られていた。その後、十数年間は文字通り七転び八起きの迷いの連続であった。そのような中で松下幸之助氏の「企業は公器なり」との言葉を知り深く感銘し、自ら実践すべく持ち株を従業員に配布し同族経営から脱皮するとともにガラス張り経営と人材育成に力を注いだ。その後シューズ以外を扱う2社との対等合併により総合スポーツ用品会社となり、今や「世界のスポーツ文化に貢献する」ことが現実になった。思えば私と『致知』の出会いはこの合併直後のことであるが、『致知』により多くの先達者の体験や経営理念を学べる事は、自分の歩んだ道との違いはあっても松下幸之助氏が言われた「企業の成否はその経営者の経営理念の良否による」とのことも再認識させてくれるし、次代を託す若い人たちに私の考えを語る際の力強い後ろ盾ともなっている。と同時に私の歩んだ道も『致知』が身近にあれば違ったものになったに違いないとの思いも持っている。

会田雄次 氏

京都大学名誉教授

『致知』はその誌名の示す通り、儒教の精神を根幹においた雑誌といえる。ただ、私自身は、元来バサラ的な人間に興味があり、儒教的な生き方を好まない性の人間である。その私が『致知』とかかわりを持ってもう10数年になる。それは、『致知』が朱子的な立場に限定した儒教の教えではなく、もっと大らかな立場から、絶えず人間の生き方を問いかけており、その姿勢に共鳴したからである。時代というものは常に不透明で見えないものだ。「一寸先は闇」というのは、歴史が証明している通りだ。我々の人生も、世の動きもしかりである。西洋に、「チャンスというのは、危機という顔を持って迫ってくる」という諺がある。危機が迫ってきたと思って、みんな避けて通り過ぎる。しかし、振り返って見たら、後ろの顔にはチャンスと書いていた、という教えである。これは常に変わらぬ歴史の教訓でもある。この教訓を胸に、今後、致知出版社はその誌名の通り、世の動きによって変化する正邪ではなく、人間の根源の知を追求する姿勢を貫いていったもらいたいと思う。

新井正明 氏

住友生命名誉会長

創刊号からの読者として、またその発展をいささか応援してきた者として、『致知』創刊25周年を迎えることは感無量のものがあります。25年――振り返れば決して平坦な道ではありませんでしたが、あっと言う間でもあったように思われます。そう感じさせるのは、『論語』にいう「吾が道は一以てこれを貫く」そのままに、『致知』がひたすら人間学を追究してきたからにほかなりません。一道を行かんとするその姿勢に深い敬意を表します。安岡正篤先生の「萬燈行」の言葉が思い浮かびます。「内外の状況を沈思しましょう/このまま往けば、日本は自滅するほかはありません/我々はこれをどうすることも出来ないのでしょうか……我々は日本を易えることが出来ます/暗黒を嘆くより、一燈を付けましょう/我々はまず我々の周囲の暗を照す一燈になりましょう(後略)」暗闇に萬燈を招く最初の一燈。『致知』はまさにそのような存在でありました。新たな4半世紀もまた同じ存在であり続けるだろう『致知』に、変わらぬ応援を送ります。私も今年満90歳になりましたが、日本の安泰のためにも人生の道標たる『致知』がさらに発展していくことを願ってやみません。

平岩外四 氏

東京電力相談役

月刊誌『致知』の創刊25周年誠におめでとうございます。「政教懇話会」「不如会」など、安岡正篤先生とのご縁もあって、この『致知』には創刊の頃から深い関心を持って参りました。生き方探究・人間学誌として、古今東西の歴史上の人物に光をあてるとともに、世に埋もれていた市井の偉人、賢人、知人や義人、勇者たちを探し、その処世の姿勢、遺訓を紹介する編集方針には心から賛同致します。取り分け対談記事では、登場人物の何気ないひと言が、ズシリと胸に響くことが再々です。生きた言葉なのです。21世紀は予期に反して混迷の幕開けでありました。ことにわが国では、敗戦後、伝統的な価値観、美意識を失い、義理人情の処世の規範まで放棄しました。諸秩序の再構築が最大の課題になっております。中国の古典『大学』の〝格物致知〟に由来する本誌は、この『大学』の訓えに則って、この課題に取り組み、物事の道理を徹底的に究明してくれるものと信じております。

亀井正夫 氏

住友電気工業相談役

創刊20周年を迎えられ、誠にお目出度く心からお祝い申し上げます。20世紀はあと2年を残すばかりとなりましたが、来世紀の日本はどうなるのか、政治、経済、社会何れの分野も憂慮すべき事態が多く、国民は閉塞感に囚われています。その根底にあるものは教育の荒廃であると思われます。毎日のニュースで、いじめ、校内暴力、学力の低下、教師の権威失墜等が伝えられていますが、このような世代が次世代の日本を背負えるのかと思うと寒心に堪えません。安岡先生の教学の精神に則り、善悪について正しい判断基準を持ち、心身共にたくましい、個性豊かな青少年を育成することが肝要であり、教育の基盤となるべき家庭のあり方と教育制度の抜本的改革が望まれます。これからの『致知』の編集方針の中に大きく取り上げて頂くことを望むと共に今後の益々のご発展をお祈り申し上げます。

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