利他の心が人生をひらく 大田嘉仁(京セラ 元取締役執行役員常務/日本航空 元専務執行役員) 森島朋三(学校法人立命館理事長)

事業会社として戦後最大の2兆3千億円の負債を抱え、経営破綻した日本航空(JAL)を、稲盛和夫氏とともに奇跡ともいえる再生に導いた大田嘉仁氏。西園寺公望を学祖とし、来年創立120年を迎える京都私学の雄・立命館理事長として、数々の改革に邁進してきた森島朋三氏。それぞれの道で既存の枠を打ち破ってきたお二人に、師と仰いだ稲盛和夫氏の教えを交え、いま求められるリーダー像、人生を成功に導く要諦を語り合っていただいた。

稲盛さんの大きな愛を別の言葉で表現すれば、「敬天愛人」であろうと思います。つまり、天から見ても誰から見ても、恥ずかしくない正しいことをしよう。それを実現するために、人間を愛する、人間を大切する経営をしようということです

大田嘉仁
京セラ 元取締役執行役員常務/日本航空 元専務執行役員

 純粋な善き思い、強い志を、不遇な時代が5年続こうが、10年続こうが、持ち続けられる人は必ずあらゆる枠を破って、社会的にも大きなことを成し遂げられるでしょうし、充実した人生を送ることができるのでしょう。ですから、これからも稲盛さんから学んだ哲学を1人でも多くの人に伝えていくことで、人々の幸福、よりよい社会の実現に貢献していければと願っています。

私は「思い切って理想像を描こう」ということをやり続けていくことが重要だと思うんです。世の中の変化は本当に早く、時代を読み切れない面がありますよね。そのような時こそ、「バックキャスト思考」が求められていると思います

森島朋三
学校法人立命館理事長

 日々の社会的な動向ではなく、いまはできそうもないことでも、立命館はどうあるべきなのか、どうありたいのか、思い切って理想像を描くことが大事だと。しかも、それは立命館のためだけではなく、教育全体に意味があるものでなくてはいけない。大義ある理想像を掲げていけば自然に立命館が行くべき道も決まってくる。そう思ってきたんです。

プロフィール

大田嘉仁

おおた・よしひと――昭和29年鹿児島県生まれ。53年立命館大学卒業後、京セラ入社。平成2年米国ジョージ・ワシントン大学ビジネススクール修了(MBA取得)。秘書室長、取締役執行役員常務などを経て、22年12月日本航空専務執行役員に就任(25年3月退任)。27年12月京セラコミュニケーションシステム代表取締役会長に就任、29年4月顧問(30年3月退任)。現職は、稲盛財団監事、学校法人立命館評議員、日本産業推進機構特別顧問。著書に『JALの奇跡』(致知出版社)がある。

森島朋三

もりしま・ともみ――昭和36年大阪府生まれ。61年立命館大学産業社会学部卒業後、京都・大学センター(現・公益財団法人大学コンソーシアム京都)などを経て、学校法人立命館に入職。平成8年から16年まで京都・大学センターに出向。その後、総務部長、常務理事、専務理事等を経て、29年7月より現職。


編集後記

破綻した日本航空(JAL)を稲盛和夫さんとともに立て直した京セラ元取締役執行役常務の大田嘉仁さんと、様々な教育改革に邁進し、優れた実績を残してきた立命館理事長の森島朋三さんのお話に、稲盛哲学の神髄、困難を突破するリーダーの心構えなど、仕事や人生を切りひらいていく要諦を教えられます。

2019年4月1日 発行/ 5 月号

特集 枠を破る

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