8 月号ピックアップ記事／私の座右銘

行くに径に由らず小林一芳（コロナ社長）

一本一本の指は弱くても、五本合わせてげんこつにすれば厚い板も打ち抜ける。「げんこつの理」は、全社員で力を合わせて道を切り拓いてきた当社の歩みを踏まえて、前社長が提唱した当社の大切な精神です

小林一芳
コロナ社長

「よくお考えになってください」
　そんな言葉が私の口から思わず飛び出したのは平成２８年、前社長の内田力（現・会長）より次期社長の打診を受けた時でした。創業者・内田鐵衛のご子息として当社を強力に牽引してきた前社長は偉大な経営者であり、自分など足元にも及ばない。創業来の主業務であった石油暖房機器に留まらず、いまや空調、給湯機器事業まで展開する当社の経営が、とても自分に務まるはずがないというのが偽らざる心境でした。しかし前社長から「大丈夫だ、私が支える。もちろん社員も協力する」という力強い言葉をいただき、私は肚を括ったのです。
　私がこの言葉に大きな勇気を得たのは、「げんこつの理」の精神が全社の隅々にまで根づいていることを実感してきたからです。一本一本の指は弱くても、五本合わせてげんこつにすれば厚い板も打ち抜ける。「げんこつの理」は、全社員で力を合わせて道を切り拓いてきた当社の歩みを踏まえて、前社長が提唱した当社の大切な精神です。

プロフィール

小林一芳

こばやし・かずよし―昭和27年新潟県生まれ。45年新潟県立三条工業高校（現・新潟県央工業高校）卒業。内田製作所（現・コロナ）入社。平成14年取締役技術本部副本部長兼研究開発センター部長。その後、常務、専務、副社長を経て、28年社長に就任。