為さざるなり。能わざるに非ざるなり 田中三教(公文教育研究会社長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。今回ご登場いただいたのは、KUMON(くもん)のマークでお馴染み、世界60を超える国と地域に広がる「公文式学習法」を手掛ける公文教育研究会の田中三教社長です。
公文教育研究会の源流は1954年、数学教師だった創始者・公文公(とおる)氏が小学生の長男の成長を願い、自宅で計算問題を作成し自習させたこと。同社生え抜きの社員として、教室運営が困難となったコロナ禍のまっただ中に経営のバトンを引き継いだ田中社長は、いかにして公文式を発展させてきたのでしょうか――。

一番に改めるべきは、実は我われ大人の先入観であり、必要なのは子どもたちの伸びようとする力を見つけ応援していく、覚悟や勇気

田中三教
公文教育研究会社長

「不為也非不能也」
(為さざるなり。能わざるに非ざるなり=できないのではない。やろうとしないだけだ)

現在、世界60を超える国と地域に広がる公文式学習法の創始者・公文公が、社員や公文式教室の指導者に贈っていた『孟子』の言葉です。

子どもたちの可能性を信じ抜く。創始者は、性善説を貫いた孟子の言葉を用いて、私たちを奮い立たせてきたのでしょう。私も二十代の折から、易きに流れる自分の心を戒めるべく、この言葉を銘記してきました。

公文式は1954年、数学教師だった創始者が小学生の長男の成長を願い、自宅で計算問題を作成し自習させたのが始まりです。学校の成績や学年に関係なく、一人ひとりの習熟度に応じた指導で、「高い基礎学力」とともに「自ら学ぶ力」を育はぐくむ公文式。教育方針・制度の異なる海外諸国にも広く支持を得続けている理由もここにあると思っています。

学業と並行して励んだ進学塾講師・家庭教師等のアルバイトやボランティアでの地域活動を通して、私は「子ども」や「保護者」と接する機会を多く持っていました。就職活動のさなか、当社の近くを通りかかり、思いつきで訪問したことが転機になりました。

アポイントなしの訪問者が目にしたのは、会員向け情報誌に掲載されていた、学習者である子どもたちのイキイキした笑顔です。就学前に中学・高校レベルの学力をつけた子の事例があるかと思えば、次頁には言語習得等のハンディを抱えながら見事話せるようになった子が揚々と紹介されている。当時子どもを分け隔てなく見る公文式教育の可能性に衝撃を受けたことは忘れられません。

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プロフィール

田中三教

たなか・みつのり――昭和37年山梨県生まれ。61年芝浦工業大学卒業後、公文教育研究会入社。平成10年事務局長。26年取締役。令和2年常務取締役を経て4年副社長。5年より現職。


編集後記

街でよく見かけるKUMONのマーク。いまや世界的ブランドとなっている公文式とは、どのように生まれ、どのように実践されているのか。大学卒業直前、ひょんなことから入社し、自分の目でその実際を見定め、教育の精神を燃やしてきた田中社長の語りは、終始情熱的でした。創始者の言葉をわがものとして大切にし、現場の先生方と心を一つにして取り組んでいかれる姿に、リーダーシップの一つの模範を見る思いでした。

2025年5月1日 発行/ 6 月号

特集 読書立国

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