5 月号ピックアップ記事 /
陽明丸 奇跡の救出作戦
――利他に生きた男たちの物語
北室南苑(NPO法人人道の船・陽明丸顕彰会理事長)
いまから100年前、ロシア革命で難民となった約800名の子供たちを船に乗せ、太平洋、大西洋を横断して親元に届けるという3か月の大救出作戦が行われた。その中心的役割を果たしたのが日本人の船会社社長と船長である。忘れられた歴史を100年ぶりに発掘し、顕彰している北室南苑さんに、男たちの偉大なる足跡についてお話しいただく。
100年ぶりに明らかになった誇るべき日本人の偉業、彼らの利他の生き方について、これからも語り継いでいきたい
北室南苑
NPO法人人道の船・陽明丸顕彰会理事長
「人生では時に全く予想もしない出会いが訪れ、その出会いによって思ってもみない方向に運命が導かれることがあるものです。オルガ・モルキナとの出会いはまさにそうでした。
この時の彼女の話、そこで手渡された資料の内容は概略、以下のようなものでした。1920年頃のロシア革命後の混乱期、戦火を逃れるために当時の首都ペトログラード(現サンクトペテルブルク)から東に数千キロ離れた日本海沿いのウラジオストックまで避難し、難民となった約800名の子供たちがいました。子供たちは『ヨウメイマル』という日本船に乗ってウラジオストックを出発。太平洋、大西洋を船で横断し約3か月の大航海の末に無事、ペトログラードの両親のもとに帰還します。子供たちにとってこの大航海は終生忘れられない幸せな思い出となり、その体験談は子孫に語り継がれていきました」
プロフィール
北室南苑
きたむろ・なんえん――石川県生まれ。書・篆刻家、著述家。創作の一方、国内だけでなくオーストラリア、スコットランド、アメリカ、中国などで個展を開催。NPO法人人道の船・陽明丸顕彰会理事長として陽明丸の偉業を伝えている。著書に『陽明丸と800人の子供たち』(並木書房)『雅遊人 細野燕台の生涯』『篆刻アート』『哲学者西田幾多郎の書の魅力』(いずれも里文出版)など。
編集後記
100年前、我が身を顧みず800名ものロシアの子供たちを救った日本の男たちがいました。書家の北室南苑さんの探索で明らかになった壮大なドラマに、日本人としての誇りを感じずにはいられません。
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