企業発展の要諦は、利他の心にあり 柴田 高(大幸薬品社長) 川端克宜(アース製薬社長)

100年以上続く伝統薬「正露丸」の効能を科学的に明らかにし、さらに二酸化塩素の特許技術で「空間除菌」という新たな市場を開拓してきた大幸薬品社長の柴田高氏。存続の危機にあったガーデニング事業を立て直し、国内虫ケア用品(殺虫剤)市場でトップシェアを誇るアース製薬社長に42歳の若さで就任した川端克宜氏。人々の生活に寄り添う医薬品や日用品を通じて、世の中に貢献したいという利他の思いを同じくするお二人に、人生と企業発展の要諦を語り合っていただいた。

「自分は生かされている」という思いで何事にも取り組むことが大切です

柴田 高
大幸薬品社長

「20代、30代の若い頃、厳しい環境に身を置けたことは、その後の私の人生の大きな財産、基礎になりましたね。あと、この時期に大事にしていたことは、『生かしていただいてありがとう』という感謝の気持ちで一所懸命に生きることですね。
 特に私は病院で人の生き死にを見る機会が多かったですし、がんを告知した人が急に意欲を取り戻して富士山に登ったとか、がらりと生き方を変えたケースにも数多く接してきました。私自身、30代の時にがんかもしれないと言われたこともありました。そういう体験から自分は生かされているという思いが強くあったのです」

これまで「縁」と「運」という言葉を大事にして、仕事・人生に向き合ってきました

川端克宜
アース製薬社長

「最初に配属されたのは大阪支店の営業部です。私にはもともと負けず嫌いなところがあって、上司に勝てないとしても、同期には負けないという思いで仕事に打ち込んでいきましたね。それから、一度きりの人生なのだから、嫌々仕事をやるよりも楽しくやっていこうという思いもありました。
 特に一度、営業に出たら『坊主(注文がゼロ)』で会社に戻ってくるのだけは嫌で、数字が苦しい時に頼れる親しい得意先を何件かつくって、とにかく坊主の日がないように意識しました。その中で次々新しい仕事を担当させてもらえるようになって、結果的に大阪支店の十数年間は一度も営業成績を下げることはありませんでした」

プロフィール

柴田 高

しばた・たかし――昭和31年大阪府生まれ。川崎医科大学卒業。医師免許取得後、大阪大学医学部第二外科に入局。大阪府立千里救命救急センター等に勤務後、62年大阪大学医学博士取得。大阪府立成人病センター外科医員、市立豊中病院外科部長を経て、大幸薬品の研究所にて「正露丸」の安全性及び二酸化塩素研究を指導。平成16年大幸薬品取締役副社長、22年6月より現職。27年7月一般社団法人日本二酸化塩素工業会会長に就任。29年6月大阪大学大学院医学系研究科招聘教授に就任。

川端克宜

かわばた・かつのり――昭和46年兵庫県生まれ。平成6年近畿大学卒業後、アース製薬入社。18年広島支店長、23年役員待遇大阪支店長。25年取締役ガーデニング戦略本部長として当時業績が低迷していたガーデニング事業の立て直しに尽力する。26年より現職。


編集後記

特集を締め括るのは、「正露丸」でお馴染みの大幸薬品社長の柴田高さんと、国内虫ケア商品(殺虫剤)市場でトップシェアを誇るアース製薬社長の川端克宜さんの対談です。医薬品や日用品を通じて、人々の生活に貢献したいという志を同じくするお二人の情熱溢れるお話から、人生と経営の要諦を学びます。

2018年4月1日 発行/ 5 月号

特集 利他に生きる

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